King&Prince高橋海人(24)とSixTONES森本慎太郎(25)が主演を務める『だが、情熱はある』(日本テレビ系)。5月21日に放送された第7話では、若林(高橋海人)は、先輩芸人の命をかけて芸人として生きる姿に強く影響を受けていた。相方の春日(戸塚純貴/30)にやる気を出させようと説教をするが、反応の薄さに落胆する日々。やめたくてもやめられない、くすぶり続ける若林の苦悩を演じる高橋の芝居に見入ってしまう。それは、高橋自身が負の感情に染まっているようにも見えた。

■役に没頭する高橋海人が見せる深い絶望

 絶望的な若林を表現する高橋の目が暗いことに、毎週、毎度、ゾッとする。それは、俳優として役をまっとうしていることなのだが、こんな顔をするのかと見ていて心配になってしまうぐらいだ。

 絶望の表現は、これまでの芝居でも見てきた。ドラマスタート時のレビューでも触れたが、『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系/2020年)で見せた、姉ちゃんに好きな人ができたのを知った時の、不安と嫉妬が入り混じった表情。

 また『ドラゴン桜』(21年/TBS系)での、実家のラーメン店が危機に直面した時に見せた、借金の苦悩と進学をあきらめた挫折感いっぱいの表情。映画『アキラとあきら』(22年/東宝)では、優秀な兄へのコンプレックスと、父親の会社を継いだ重責に押し潰されてしまう姿。

 それぞれ役に合わせた表現をしているのだが、当作で見せる苦しみや絶望感といった負の感情は、これまでとは少し違うなと感じる。地面に手をついて、ほふく前進で進んでいるような底辺さを感じるのだ。

 第5話で、自分は今の状況を「つらいし、しんどいし、みじめで苦しい、恥ずかしい、すごく嫌だ」と吐き出すように伝えていたのだが、若林を通じて本人の感情がむき出しになっているように感じた。こんなにつらそうな高橋は、見たことがない。

 芝居に没頭しながらも、抱えている苦しみの感情を爆発させているようにも感じられて、見ていて心配になるし胸が痛む。コンビ名を、ナイスミドルからオードリーに改名したら、テンションが高まるようなエピソードで安心や落ち着きを得てほしい。希望に満ちた若林を演じる高橋が見たい。