■加賀美と源治はつながっている?

 これについては彪牙の同僚で、同じく教師だったという居酒屋の店主・源治(酒向芳/64)が、いちおうの真相を話している。彪牙が担任していた生徒の宗像のケガをめぐり、モンスターペアレントだった両親と揉め、悩んだあげくに宗像一家を殺してしまったというのだ。しかし、いくら悩んでいたとはいえ、一家全員を殺すだろうか? 源治の言葉は、どうも信用ならないのだ。

 また加賀美は、結婚式場で彪牙を殺してしまったことについて、「なんの罪もない普通の人間を殺してしまった」と言っていた。加賀美は彪牙が宗像一家を殺していないことを知っている。なぜか? ひょっとすると、加賀美は宗像家の子どもで、殺害を免れた生き残りかもしれない。現場を目撃し、真犯人を知っているのだ。養護施設で育ったのは、事件で身寄りがなくなったからなのだろう。

 ではなぜ、加賀美は吸血鬼を狙うようになったのか? 加賀美は子どもの頃に養護施設で怖い吸血鬼の絵本を読み、吸血鬼を憎むようになったと語っていたが、そんな弱い殺人理由があるだろうか。しかしもし、宗像一家殺害の犯人が吸血鬼だったならば? 家族の仇として、吸血鬼を憎む理由が腑に落ちる。つまり源治の証言はウソで、犯人は彪牙ではなく、生き残っている吸血鬼の誰かなのだ。年齢を考えると、伊織か、こころの父の海造(吉田鋼太郎64)か?

 宗像一家殺害をめぐって、源治と加賀美がなんらかの形でつながっていたのは、ほぼ間違いないだろう。加賀美が死んでしまった以上、真相を解く鍵は源治が握っていると思われる。ひょっとすると、源治は吸血鬼で、こころの一家と対立していて、加賀美を操ってこころ一家抹殺を謀っていた? 源治の怪しさを考えると、その可能性は否定できない。

 これ以上の考察をするには、分かっていないことが多すぎる。ここはおとなしく、真相が明らかになる6月13日の夜9時を、おとなしく待つことにしよう。(ドラマライター・板橋六郎)