■強くない局ほどジャニーズに”忖度”するという裏事情
別のテレビ局関係者は、「各局の報道姿勢は、ジャニーズが出演したくなる番組を持っているかどうかが強く影響する」と指摘する。
「ジャニーズタレントが数多く出演している局は、この問題に触れづらいと思われがちですが、むしろ逆なんです。予算がない、規模の小さい局のほうが忖度するのが実情です。
たとえば、当初からこの問題を伝え、斬り込む姿勢を見せたTBSやNHKは、事務所にしてみれば、“ぜひ出させてください”という強力なコンテンツがある。TBSなら『日曜劇場』がそうですし、NHKなら朝ドラ、大河ドラマですよね。
現在の日曜劇場『ラストマン』にはKing&Princeの永瀬廉さん(24)が出演しているし、大河は嵐の松本潤さん(39)の『どうする家康』が放送中。朝ドラでも前作の『舞いあがれ!』ではSnow Manの目黒蓮さん(26)が活躍していましたよね。
それらは、事務所サイドとしては是が非でも所属タレントを出演させたい番組です。金看板のコンテンツを持つテレビ局は、ジャニーズに限らず、事務所に対して強く出られるわけです。
一方で、強くない局はジャニーズにがっつりオファーできるような予算も番組もなく、これまでなかなか相手にされなかったという背景があります。それが近年、少しずつ出演してくれるようになっている。せっかく事務所がOKし、タレントを出してくれるようになったのだから、その関係を崩してまでジャニー氏問題を報じる必要はないという判断なのです」
ジャニーズ事務所がタレントを多数抱え込んだことで、キー局との番組制作だけでは、自社が抱えるタレントの出演が追いつかず、これまで仕事をしてこなかった局とも手を組んでの番組作りが進んでいる、と見ることもできる。
前出の某キー局局員が嘆息交じりに言う。
「テレビ局とジャニーズ事務所は結局、共存共栄関係。そして、表に出てはまずい“指示”は、こっそりと口頭で行なわれるんですよ……」
ジャニー氏の加害問題に関する報道がなかなか前進しない根本的な理由の一つに、ジャニーズ事務所と地上波テレビ局との太すぎる関係があるのもまた、事実かもしれない。