ジャニー喜多川氏(享年87)の性加害問題は、今年3月にイギリス公共放送のBBCがドキュメンタリー番組『J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル(Predator:The Secret Scandal of J-Pop)』を放送して以降、ジャニーズ事務所を揺るがすほどの問題に発展している。

 毎週のように元ジャニーズJr.が『週刊文春』(文藝春秋)や他の週刊誌に顔出しで登場し、ジャニー氏から受けた被害を告発。ジャニーズ事務所サイドも第三者委員会的な役割を担う「再発防止特別チーム」を設置するなど、問題解決に向けて動いてはいるが――。

「社長の藤島ジュリー景子氏(56)に対し、“記者会見を開くべき”という声は根強いですが、ジュリー社長は一向に表に出てきません。5月14日に公式サイトで一連の騒動について謝罪動画と声明文を出しましたが、一方的なものに過ぎませんからね……」(ワイドショー関係者)

 芸能プロ関係者はこう話す。

「多くの元Jr.が顔出しで告発し、国会でも取り上げられた前後の時期は、現体制、ジュリー社長と一部上層部の辞任は“やむなし”という情勢だったんです。実際に、強く責任を感じている上層部が退任の意向を示していたそうですが、ここにきてジュリー社長を含めて進退の話はなくなりそう、となってきているといいます。

 芸能関係者の間では、このままジュリー氏は記者会見をすることなく、後は『再発防止特別チーム』に対応を任せて“終了する”という可能性もささやかれていますね……。

 テレビ各局も変わることなくジャニーズタレントを重用しています。ただ、今回のジャニー氏の加害騒動の件だけは、テレビ局はうやむやのままにはできないでしょう。株主からの猛烈な突き上げを食らっていますからね」

■株主から“ジャニー氏の闇”を無視してきたことを問題視する意見が続々

 6月28日と29日、フジテレビ、日本テレビ、テレビ朝日などの民放キー局の株主総会がそれぞれ行なわれた。

 28日に行なわれたフジ・メディアHDの株主総会では、ジャニー氏の加害問題を報じてこなかったこと、フジテレビでジャニーズの番組を多数放送してきたことは共犯ではないか、といった問いかけがあり、NHK『クローズアップ現代』では同問題に不熱心なテレビ局としてフジテレビの名前が挙げられた、といった指摘があったという。

 29日に行なわれたテレビ朝日HDの株主総会では、テレビなどの大手メディアが加害問題を積極的に報じてこなかったことが被害を拡大させたとも言われているが、当時、同問題を報道しなかったのはなぜなのかといった問い、ジャニーズ事務所における加害問題への対処、事務所との取引継続の適否、営業面の影響について質問があったという。

「同日行なわれた日本テレビHDの株主総会でも『24時間テレビ』とジャニーズ事務所との関係を指摘されるなど、いずれの株主総会でもテレビ局とジャニーズの“蜜月関係”が、株主からも問題視されたんです。

『週刊文春』でジャニー氏の加害問題が取り上げられ、裁判で決着もついているはずなのに大手メディアは報じてこなかったという指摘ですよね。株主からは“その部分をちゃんとするべきだし、検証するべきだ”という強い声が出ているということ。

 テレビ局とジャニーズ事務所の持ちつ持たれつの関係、ジャニーズサイドに忖度をし続けるというのは、この状況においてテレビ局という企業にとってマイナスにしか働きません。『週刊文春』に元Jr.の告発記事が出て、『Yahoo!ニュース』に掲載されると、万単位のコメントがつくほど、多くの人がいまだに関心を寄せている重大問題でもありますからね。株主の思いとしては、そこをないがしろにしては企業の価値が著しく下がる、というところでしょう」(前同)

 6月29日、テレビ東京の石川一郎社長は定例社長会見で、ジャニー氏の加害問題について、『再発防止特別チーム』、事実上の第三者委員会の調査を期待し、そしてその結果の外部への公表をしっかりとしてほしいとジャニーズサイドに申し入れしていることを明かしていた。