■犬の生まれ変わりを演じる浮所飛貴はハマり役になるか

 主演の岸と共演するのは、同じ事務所の後輩である、美 少年浮所飛貴(20)だ。浮所は、炬太郎がかつて飼っていた犬の生まれ変わりである木ノ宮天(きのみや・てん)を演じる。

 普通の生活を送ってきた天だったが、20歳の誕生日に生まれ変わる前の記憶が突然蘇るという難役に挑む。前世が犬という役どころは、人なつこくて愛嬌のある浮所にピッタリの役どころだ。事務所の先輩にそつなく接することができて、立ち回りが上手なのは、先を読む賢さからくるものだろう。

 岸とは、バラエティの『VS魂グラデーション』(フジテレビ系)にレギュラー出演をしているため、接点は多い。だが、岸は芝居になると、ふだんの穏やかな雰囲気からはまるで別人のように役になりきる。岸の本気の芝居に応えつつ、自分の個性を出して芝居に乗せることができるか注目したい。

 天にとっての炬太郎はヒーローであり、自分を悪徳ブリーダーの劣悪な環境から救ってくれた恩人だ。炬太郎のためなら何でもする、役に立ちたい、そばにいるだけで幸せだと思っている感情が、視聴者と共有できたらとてもいい物語になるだろう。

 そして、炬太郎が自分の生き方を見つめ直して、ひとりの人間として成長していく姿を応援することができるのは、ファンにとって幸せなことだ。ひとりの青年が成長していく役は、『ナイト・ドクター』(2021年/フジテレビ系)でも演じていたが、妹のためならなんでも頑張れて努力ができる青年だった。炬太郎が天と出会うことで、どのように変化して成長するのか見守っていきたい。(文・青石 爽)