広瀬すず(24)が主演し、King & Prince永瀬廉(23)と初共演するドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)は、田舎育ちで天真爛漫な女性が、幼なじみの婚約者を追って上京した先で、音楽家になるのを夢見る青年と出会い、お互いの夢や恋を紡ぐラブストーリーだ。第1話は、空豆(広瀬すず)と音(永瀬廉)が運命ともいえる出会いをし、偶然の再会を重ねるうちにお互いの危機を救いつつ、大切なものを助け合う模様が描かれた。

■永瀬廉の声に酔いしれる

 ドラマは、音のナレーションから始まった。「その年、僕は、初めて来た場所で運命の出会いをする」、それは春の福岡だった。カフェでホットのドリンクをテイクアウトし、レコードショップでアナログ盤を探し、ご機嫌で街を歩く。ここまで約90秒、演じる永瀬の自然体の姿は透明感に溢れていて、至福の時間を共有したように感じられた。

 そして、音が口ずさむメロディーは、甘くて優しい声だ。街の音がする街路で、歩きながら歌うのが鼻歌のようでもあり、音楽が好きな人物であることが伝わってくる。このふわりとした柔らかい空気の中に、突如現れるのが空豆だ。静かな世界を切り裂くように突進してきたと思いきや、噴水の水で顔を洗うといった驚くべき行動を目の当たりにする音の動揺は計り知れない。

 この衝撃的な出会いから、偶然が重なって関りを持つことで情が生まれたのだろう。大切な指輪を川に落としてしまった空豆をおぶってホテルまで送ってあげたり、フラれた婚約者のマンションに行くのを付き合ってあげたり。九州へ帰るよう促すけれど内心では心配しているし、別れ際には優しい嘘までついて色紙にサインをしてあげた。この穏やかで優しい人柄の中に見える寂しそうな表情が秀逸で、内面の悲しさや苦しみをオブラートに包むように笑うのが印象的だ。

 永瀬はこれまでの役でも、こうした表情をしていた。被災地で漁師の役をしていたときも、江戸時代に通訳の父親の姿を探していたときにも、織田信長の生まれ変わりを演じていたときにも、複雑な心情を見事に演じていた。そして、迷いを振り切ったときに見せる強さは格別なのだ。いつか音にも来るだろう、その時が楽しみだ。