■さりげなく仕込まれている「お餅と家紋」
「福澤監督の発言からは、世界に出していく意気込みで『VIVANT』を作っていることが伝わってきます。監督の発言にも出ましたが、海外の人は“神社”が大好きで、“日本刀”も日本独自のKATANAとして大人気ですからね。“海外展開を意識している”という福澤監督の言葉から分かるように、『VIVANT』は海外ウケを狙った要素、やキャスティングなどを細かく仕込んでいる印象を受けますね」
まず1つは、神社や刀を筆頭に、海外の人にとっては異国情緒あふれ魅力的に映るであろう「日本文化」の描写がある。
「第4話では、バルカ人のドラム(富栄ドラム/31)に対し公安の野崎(阿部)が“日本の餅たらふく食わせてやる”と乃木(堺)も交えて3人で食事をするシーンが描かれましたが、真面目な本筋の裏側で、ビョーンと伸びるお餅を楽しそうに食べるドラムの姿も強調されていた。お店も畳や掛け軸の内装で、いかにも“外国人が好きな日本”の雰囲気の強いお店でした。今、フランスやイギリスなどでは、お餅は“Mochi”としてブームになっているほどだといいますからね。そこを狙って作っているのは間違いない。
また本作は謎のテロ組織“テント”のマークが、乃木の父親(林遣都/32)の家紋と同じ、という伏線が張られていますが、これも海外ウケ要素かもしれません。我々が日本人だからこそ見落としがちですが、“家紋”というのは、実は海外では非常に人気があるんですよね」
ヨーロッパにも紋章文化はあるが、貴族が主体であり、各家庭にまで紋章(家紋)が普及している日本は、実は珍しい国だと言われている。
海外ではシンボルの芸術性からひそかな人気を集めており、ルイ・ヴィトンのアイコン「ロゴグラム」も、薩摩・島津家の家紋に影響を受けて考案されたデザインという説もある。
「2つ目は、福澤監督の前述のYouTubeでの発言にもありましたが、海外の視聴者にもリーチできる俳優の起用です。今年5月28日に『PERFECT DAYS』で『第76回カンヌ国際映画祭』の最優秀男優賞受賞に輝いた役所さんなど、海外に通用する役者を起用していますよね。
執拗に乃木らを追うバルカ警察のチンギス役に、モンゴルの人気俳優であるバルサラハガバ・バタボルドさんが起用されていますが、バルサラハガバさんはモンゴルで20本以上の映画に出ているし、 現地では今冬公開予定のハンガリー、イギリス、オーストラリア、モンゴルの共同制作映画『1242:Gateway to the West』にも出演している、国際的な俳優です。
また、意外なところでは、ナレーション兼ドラムの通訳アプリの声を担当している声優の林原めぐみさん(56)も、海外人気を獲得できるかもしれません」