日本中に深い悲しみをもたらした東日本大震災から12年。震災の中心地ともなった福島県にとって、ターニングポイントといえるオペレーションが8月24日から始まった。地元紙記者が解説する。
「東京電力福島第一原発に貯まる処理水の海洋放出が実行されました。放出された水に含まれる放射性物質の量は、飲料水としての基準値よりも低く理論上は飲むこともできる。一方、国内外では放出に反対する意見も多くあり、県内でも漁業従事者を中心に反対の声は根強い」
この処理水海洋放出を受けてお隣り中国は、放出が始まった8月24日から日本産の水産加工食品の全面禁輸措置を発表。
「近年、日本食ブームに沸いていた中国では、日本食レストランや寿司店が続々オープン。距離も近いことから水産物の輸入にも積極的だった。2022年だけで日本から871億円分もの水産物が輸出されています。それが一転、中国のSNS上では“処理水”がトレンド入りするなど、放出をきっかけに日本食へのアレルギー反応が強まっている」(夕刊紙記者)
中国国内で広がる日本への猛烈な反発。それを体感している1人が、福島県内で9店舗の飲食店を経営する若武者グループの山本一平代表だ。
「中国の国番号である86から始まる電話番号から、嫌がらせ電話がひっきりなしに掛かってくるようになったのは、海洋放出が始まった翌日8月25日のことでした。4店舗で1日合計1000件ほど。1分に1本電話が掛かってくるような感覚です。多い店だと1日800件は嫌がらせ電話が掛かってきました」