■「『芝居している』と『試合している』が融合したような、不思議な時間でした」

 迫真の試合描写について横浜は、

「もちろん『演じている』という感覚は持っているのですが、『芝居している』と『試合している』が融合したような、不思議な時間でした」

 と、8月25日公開の『ムービーウォーカー』のインタビューでコメントしている。

「一方の窪田さんは、2020年2月公開の映画『初恋』や、22年11月公開の映画『ある男』でもボクサーを演じています。『春に散る』で演じた中西は“もっともキャスティングが難しかった役”とコメントがありましたが、過去に演じた役の経験が生きたのでしょう。中西の人を食ったキャラクターの芝居と、横浜さんに勝るとも劣らないガチのボクシング描写が楽しめます」

 特にボクシング映画として前代未聞なのが、横浜と窪田がスパーリングを繰り広げた試合における、第11ラウンドの撮影技法。なお、ボクシングの世界タイトルマッチは1ラウンド3分、ラウンド間の休憩1分で、合計12ラウンドで行なわれる。

「普通、ボクシングの試合シーンを描く場合、当然ですが、試合の構成や動きを固めて撮ります。目や顎に本当にパンチが決まってしまったら大ケガしてしまいますからね。

 本作も大半のシーンは段取りをしっかり決めて行なわれていますが、横浜さんと窪田さんが対決する試合の11ラウンドだけは、現場判断で、段取りなしの“ガチのボクシング”に変更されたというんです」