■わざわざ“島根の高級ブランド米”を取り寄せていたベキ

「土地の形の酷似の指摘は非常に興味深いですが、ベキの心の中に現在も故郷の島根県が残り続けているのは間違いないでしょう。出雲大社で祝言も上げていますしね。第9話ではその過去のことが報じられそうです。そして、ベキは公的には40年前に死んでいるうえに現在はテロリストですから、日本、そして島根に帰りたくても帰れない。そんな悲しみもあるのかもしれませんね。

 テントのマークに自身のルーツである乃木家の家紋をそのまま使っていることに加えて、第8話では、島根への思い入れの強さを象徴するシーンがありました」

 テントは児童養護施設に、ベキが日本から取り寄せている高級な“うるち米”を配給している。米袋には「仁多郡産こしひかり」と書かれているが、仁多郡は奥出雲町を含む、島根県の郡であるため、

《良く見ると島根県の仁多米だ。ベキはふるさと島根の事を忘れていなかった、と言うことなのだろう》
《お米、見直したら島根県仁多郡産こしひかりだった奥出雲はベキの出身では?》

 といった指摘は多い。ジョークでは、“JA(農業協同組合)がテントと癒着してる説”というネタ考察もある。

「仁多郡産こしひかりは“非常に美味しい”と高く評価される高級ブランドです。孤児たちに美味しい物を食べさせたい、故郷を大切にしたい、そうした想いがあるのは間違いないでしょうが、さらなる想いもありそうですね……。

 40年前の乃木卓は警視庁公安部の身分を隠し“農業使節団”の名目でバルカに入国していましたが、そこで緑化事業で砂漠を作物が取れる土壌に改良した功績を評価された。それで、現地語で“緑の魔術師”を意味するノゴーン・ベキの称号が与えられたんですよね。

 砂漠地帯のあるバルカを豊かにするにあたって、緑化は非常に重要な意味を持ちます。ベキは、緑化を成功させ、孤児や貧困層を救済して理想国家として“第2の島根”を作りたいのでは――そうした見方が強まっていますね」