■“1人だけグレースーツのキリシタン”の真相

 同じく公安では、鈴木祥(内野謙太/38)が“別班ターゲットの尾行に失敗する”“乃木の経歴の裏取りが甘い”といった優秀な公安の捜査官とは思えない、さらには別班に都合の良いミスを繰り返していたこと、“公安は全員黒スーツで神棚に祈るが1人だけ灰色のスーツで、しかも1人だけクリスチャンのように十字を切る”という描写から「実は別班説」が指摘されていた。

 しかし、演者の内野は9月7日配信の『文春オンライン』のインタビューで、上記の演出について、実は偶然の産物だったことを明かしている。

《あのグレーはたまたまなんですよ。本当に僕を見て、変なやつだから、ちょっと変なヤツにしようって衣装合わせで変更されたみたいです》

《監督と話していたら、少なくともあのシーンを撮る段階では、日本の宗教的な多様性を描きたいという面もあったんだと思います。監督も違和感ないからそのままで行こう、みたいになったんですけど、オンエアになってみたらすごい話題になっていて》

 もっとも、福澤氏に「おーお前、色々疑われてるみたいだな」と言われたことから、実はこうなるのを見越していたのかも、と内野は補足していた。

「そして、第4話を最後にフェードアウトしてからも視聴者の間で疑われ続けている、乃木が勤める丸菱商事の長野利彦専務。最後の最後にどんでん返しがある可能性もありますが……裏事情を紐解くと、実はそのまま出番が終了することは、十分あり得るんですよね」(制作会社関係者)

 長野専務は経歴に“空白の二年間”があり、その時期が乃木(堺)がバルカから救助された時期と被っていること、公安の取り調べから解放された際になんとも意味深な笑みを浮かべていたこと、何よりも、演じている俳優が大ベテランで、裏切り者の役などを何度も演じてきた小日向文世(69)であることから、視聴者に疑いの目を向けられている。

 何らかのどんでん返しがない場合、長野専務は「会社の若い女の子(正体は凄腕のハッカー)に手を出した不倫男」というなんとも情けない立場のまま終わってしまうが……。

「小日向さんの場合、“スケジュール的に厳しそう”という裏事情があるんです。『VIVANT』の後の日曜劇場は10月スタートの鈴木亮平(40)さん主演の『下剋上球児』ですが、小日向さんは“地元三重県の産業を支える名家であり先祖代々の大地主・犬塚樹生”というメイン級の役で出演していているんです。しかも、『下克上球児』も『VIVANT』に負けまいと気合いが入りまくり。普段は撮影許可がなかなか出ない甲子園でのロケを敢行するとも聞こえてきています。

 小日向さん的には『下克上球児』のほうがメイン。そのため、『VIVANT』の後半以降に撮影を行なうのは、難しかったのでは、と考えられます。あえて大物俳優の小日向さんを使うことで、視聴者を惑わせる狙いがあったのかもしれませんね」