King & Prince岸優太(27)主演の『すきすきワンワン!』(日本テレビ系)は、無職で無気力に生きている青年が、幼少の頃に飼っていた犬の生まれ変わりだという青年に“再会”し、愛し愛されることで成長していくファンタジーなストーリーだ。ドラマタイトルの「#すきすきワンワン」がテレビ放送中にトレンド1位を獲得。“岸くんの演技”というワードが放送翌日までトレンド入りするなど、深夜ドラマとは思えないほどの大きな反響が寄せられた。

■素朴で純粋な26歳を演じる岸優太の演技がすごい

 岸は、緑あふれる自然がいっぱいで、空気の流れが穏やかな場所がとても似合う。天気のいい穏やかな日、川のほとりに座って空を見上げている炬太郎(岸優太)は、時間を持て余していた。長年住み慣れた地元のよく行く場所といった感じが出ていて、風景へのなじみ方がとてもいい。

 炬太郎は、実家の庭付き一軒家で一人暮らし、髪はボサボサだし、洗濯物や食べたもので散らかっているのだが、これもまた違和感がない。変化のない日々を送っていた炬太郎だったが、ある日、14年前に飼っていた愛犬・てんの生まれ変わりだという青年・木ノ宮天(浮所飛貴/20)が訪ねてくる。自分はてんの生まれわりだと告白し、なんとか信じてもらおうと当時のエピソードを語るのだが、当然のことながら炬太郎は取り合わない。

 しかし、モンゴルの言い伝えだという『犬は亡くなると人に生まれ変わる』という話になると表情が一変する。てんを抱きしめながら、その言い伝えを優しく語りかけていたことを、炬太郎は忘れていなかった。そして、その言い伝えを大人になっても時々、思い出していたぐらいに、信じていたのだ。

 だけど、てんのことが大好きだったから、言い伝え通りに尻尾を切るなんてかわいそうでとてもできなかった。だから生まれ変わることなんてないだろうとも思っていた。そんな自分を「バカだろ。バカなんだよ、俺」と言った炬太郎の寂しそうな表情には、切ない思いが詰まっていた。そして、言い伝えを信じていた純粋さが、岸が持っている実直でまじめな人柄に通じていて泣けてくるのだ。これほど素朴で純粋な26歳を演じることができる人が、他にいるだろうか。