■続編ではFと乃木が対立するドラマが描かれる?

「医師の柚木薫(二階堂ふみ/28)との恋愛や少女・ジャミーンとの交流などは、乃木が本当に心優しい人間でないとシラけてしまうし、二重人格の設定は英断だったと言えるでしょう。

 一方で、本筋のシナリオとは関係ないところで生み出されたキャラクターであるため、乃木を普通の“裏の顔がある男”として描いても、全体のストーリーラインは崩れませんよね。

 ただ逆に言えば、“主人公が二重人格”という設定は『VIVANT』のメインシナリオにおいてさほど重要ではなかった、ということです」

 そんなFの扱いに、

《二重人格設定をもっと活かすエピ欲しかったな》
《スパイの虚言だけでは説明しにくい乃木の矛盾した言動を二重人格で上手く誤魔化しているという感じもなきにしもあらず》
《主人公の二重人格設定をもっと活かす展開かと期待してしまった》

 といった不満の声は少なくない。

「Fは、シナリオが進むにつれてキャラが立って魅力的になっていたし、堺さんの演技もあって“相棒キャラ”として、単独でも人気を博していますからね。

 また、ノベライズ版では乃木と記憶は共有していても、思考は完全に共有できていないことがドラマ版に比べて分かりやすくなっていて、第6話の“乃木が自衛隊に入隊した動機”を話すシーンなどはそれが顕著でした。

 そこでは“F”の心理描写のセリフが追加されていて……シーズン1のクライマックスでもFと意見が食い違う場面がありましたが、シーズン2ではそれがさらに発展して本格的な対立が描かれるかもしれませんよね」

 Fは、乃木を守ることを第一に考えている。第9話で乃木が実父で別班が追う組織「テント」の創設者であるノゴーン・ベキ(役所広司/67)に拘束された際、“実は別班の任務で潜入している”という事実を明かそうとする乃木を「止めろぉっ!! 言ったら、殺されるぞ!」と、必死に止めていたこともあった。

 結果的にこの場面は“事実を明かす”が正しい選択肢だったが、こうした見解の相違で両人格の関係が悪化する展開もあり得るだろう。