男役と女役の両方を、女性だけで演じる華麗すぎる舞台――。兵庫県宝塚市に本拠を構える宝塚歌劇団は、長年にわたって高い人気を誇ってきた。スターたちの養成所である宝塚音楽学校は、毎年の合格者数はわずか40名という狭き門。そんな夢の舞台へと駆け上がった若きタカラジェンヌが、宝塚市内にあるマンションの敷地内で倒れて発見されたのは、9月30日午前7時ごろのことである。
地元紙記者が明かす。
「亡くなったのは、2017年に初舞台を踏んだ25歳のNさんです。駆けつけた捜査員が現場付近を調べたところ、マンション最上階から所持品と思しき手提げ鞄が見つかり身元が判明。遺書などは残っていませんが、遺体に争った形跡などがないことから、兵庫県警では飛び降り自殺と判断しました」
Nさんは、15年に宝塚音楽学校へと入学。その後、17年に103期生として宝塚歌劇団へと入団した。
「母親が熱狂的な宝塚ファンであったことから宝塚受験したそうです」
夢の舞台に立ち、周囲を明るく照らすような笑顔を振りまいていたNさん。しかし、舞台の外では表情を強張らせる事態に襲われるようになる。