■20年前誕生した言葉が今になって注目されている理由

 なぜ20年近く前に誕生した心理学用語が現在、まったく別の意味合いで盛り上がっているのか。

「着火点はまったくの謎。ただ同時多発的に複数のユーチューバーが、“蛙化”についての動画を投稿したものが拡散し、その影響があるのは確かです」(前出の原田氏)

『蛙化現象』の流行を受け、2020年、TikTokやYouTube上で活躍するシンガーソングライター・りりあ。が制作した楽曲『蛙化現象に悩んでる女の子の話。』のPVは、11月27日に公開されると現時点までに158万回再生。

“大好きなのに冷たくしてしまう”という彼女と、冷たくなった彼女が理解できない彼氏のすれ違いから、最終的には別れるカップルの恋心を描き、ヒットとなった。

※TOY'S FACTORY内レーベル『VIA』の公式X(ツイッター)『@via_label』より

 並行して、男性に対する小さな幻滅ポイントを「蛙化」というワードでくくり、“ネタ”にして投稿する動画がSNSを席巻してゆく。

「“蛙化”という言葉を使うのはほとんど女性。ユーチューバーやTikTokerが“男性のこんな部分で蛙化する”といった類の動画をバンバンあげて、若い女の子同士の共感を集めるなどして拡散していきました。

 もちろん今までも、女性が男性に冷めるポイントが、女子会などで話題のネタになっていたことはあったでしょう。ただ、使い勝手のいい流行言葉が発生したことで、いろんな人が内心にとどめていたものをSNSで表出させちゃったんですよね。

 大きなうねりとなって広まるなかで、平坦な道で急にずっこけた男子に対して、“それ蛙化だよ~!”とふざけるなど、ツッコミとしての使われ方も登場しました」(前同)