■弊害も…「蛙化」に陥りやすい人とその対処法は
カジュアルに広まりすぎた結果、弊害が生まれていると原田氏は指摘する。
「男女ともに“こういうのは蛙化”と、蛙化の対象になる行動がリスト化されてしまったことで、男の子にとっては恋愛に臆病になるきっかけの一つになったとも思います。女の子も“自分では気にしなかったけど、あれって蛙化の対象行動なの?”という感じで、気になり始める人が続出しました」
「蛙化現象」に陥りやすい人の特徴として、原田氏は「結局性格じゃないですか」とあっさり。「ネタとしての使い方は別にして、大人の女性は本気でそういうことを言わないですよね」としつつも、現代は“理想とギャップに陥りやすい”時代であると解説する。
「この10年間は、“インスタの時代”。自分をいかにかっこよく可愛く見せるかっていう加工合戦、きらびやか合戦の時代で、理想が高くなりすぎちゃう要因がかなり大きかったといえます。
昔はキムタクをかっこいいとは思いつつも、理想と現実は切り離していたわけです。だけどSNSやインフルエンサーの登場などで、その間のグラデーションがかなり見えるようになってきた。彼氏より少し上みたいな存在を認知するようになって、なんとなく理想像の平均値があがっちゃってるのは確かです」
他人と比較しがちな人が陥りやすいともいえるSNS時代。相手に“ギャップ”を感じない対処法は「もうこの言葉を忘れるしかないんですよね」と笑う原田氏。今年前半ぐらいで“蛙化ブーム”は終わっており、今はだいぶ終息しているのだとか。
「今は、“素”の自分をさらけ出すのが好感度につながるようになっている。最新のSNSである『BeReal』は、もはや加工できないのがポイント。TikTok上でも無加工フィルターで載せるのがクールになってきています。そう考えると、蛙化現象っていうのはインスタ時代の最後の断末魔、終焉を示しているのかもしれません」(前同)
リアルを見つめ直す時代がやってくるのか。
原田曜平
慶應義塾大学商学部卒業後、広告業界で各種マーケティング業務を経験し、2022年4月より芝浦工業大学・教授に就任。専門は日本や世界の若者の消費・メディア行動研究及びマーケティング全般。
2013年「さとり世代」、2014年「マイルドヤンキー」、2021年「Z世代」がユーキャン新語・流行語大賞にノミネート。「伊達マスク」という言葉の生みの親でもあり、様々な流行語を作り出している。主な著書に「寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生 (角川新書)」「Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか? (光文社新書)」など。