■“アンコール”になった「最後のアナウンス」

「負ければシーズン終了となる10日の最終戦では、CS出場を争う楽天相手に安田尚憲(24)の9号ソロホームランも飛び出し5対0で快勝。CS進出を決めると同時に、3位ソフトバンクを勝率僅か“1毛”の差で上回り、2位に滑り込んだんです」(前出のスポーツ紙記者)

 つまり、14日から行なわれるロッテ対ソフトバンクのCSファーストステージは、本拠地であるZOZOマリンスタジアムで行なわれることになったわけである。これにはロッテファンも大興奮。谷保さんの「最後のアナウンス」は“アンコール”となった。

※画像は『千葉ロッテマリーンズ 広報室』公式X(ツイッター)『@chibalotte_pr』より

 ファンからも愛される谷保さんとの思い出を、現役時代「幕張の防波堤」のニックネームで知られ、2005年にはパ・リーグ最多セーブ投手にも輝いた小林雅英さんはこう振り返る。

「選手とかスタッフのみんなは、谷保さんのことを“ヤホさん”っていう愛称で呼んでいました。僕が現役だった頃は、鹿児島県にある鴨池野球場が1軍のキャンプ地だったのですが、オープン戦の終盤からは“ヤホさん”の場内アナウンスがあったと思います。いるのが当たり前。そんな存在でしたね」

 人当たりも良く、誰からも愛された谷保さん。チーム内でも選手のお姉さんの様な役割だったという。

「僕が08年にメジャーリーグのインディアンス(現・ガーディアンズ)へと移籍が決まった時は、毎年変えていた登場曲を全曲CDにコピーして手渡してくれて……。現役最終年となった11年のオリックス時代、最終登板はロッテ戦だったのですが最後の登場コールも“ヤホさん”でした。

 先日、“お疲れ様でした。ありがとうございました”とLINEを送ったら“ありがとうございました”と返事をくれましたね」(前同)

 レギュラーシーズン最終戦の日、谷保さんに一日密着したロッテチームの広報担当者に後任となる“場内アナウンス”について尋ねたところ、

「ずっと一人でやっておられたので、代わりはすぐに見つかるとは思っていません」

 とポツリ。今後の募集の予定はあるのかを問うと

「ロッテとしては今のところ、場内アナウンスができる方を募集する予定もないです……」

 と、どこか寂しげだった。

 33年間続けた場内アナウンス。谷保さんの第二の人生への出港はマリーンズが勝ち続ける限り、先になる。

小林雅英
1998年ドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団。2005年には最多セーブ王にも輝く。マリーンズで9年間プレーした後、MLBクリーブランドインディアンズを経て、巨人、オリックスでも活躍。2011年に現役を引退。現役時代の愛称は「幕張の防波堤」。