■結果的に作風にマッチした演出となった

 そんな三宅氏の『罠の戦争』は、極端に凝った演出などは控えめ。アングルやシーンの転換なども、全体的にシンプルな構成となっている。

「三宅さんを筆頭に馴染みのあるスタッフと組んでいる、というのもあるのでしょう。『罠の戦争』は演出面においては、悪く言えば古くて新鮮味に欠けるところも感じますが、これがドラマの世界観や草なぎさんを始め役者陣に実にハマッていて、むしろ良い方に作用しているんです。温故知新と言えるのかもしれませんね。変に奇をてらわず、純粋に“役者の演技”で勝負している、とも言えますよね」(テレビ誌編集者)

 たとえば草なぎについては、第1話の本気で復讐を決意したシーンでは“怒りのあまりリンゴを握りつぶす”というオーバーな演出があるが、それ以外の場面は基本的にオーバーな演技ではなく自然で淡々とした雰囲気を出していた。

「一方で、本田博太郎さん演じる犬飼大臣や、田口浩正さん(55)演じるパワハラ常習犯の議員秘書虻川は、一目見て悪役とわかる濃い演技をしています。

 第2話では虻川のパワハラが公になって転落していく様子が描かれていましたが、“つねにイライラをむき出しにしている虻川”と“表面上は取り繕ってるけど内心のはらわたが煮えくり返っている鷲津(草なぎ)”という、絶妙な対比になっていましたね」(前同)

『罠の戦争』の演出については、

《演出と題材はちょっと古くさくて昔のショムニみたいだけど、1話ごとにスカッとするドラマが最近少ないからか最後まで飽きずに見れた》
《絶叫するわけでもなく、顔芸するわけでもなく…静かに怒りを湛えている。演技、演出、脚本、とても好き》
《話のテンポが早くてあっと言う間だった。ドラマによくみられる回想シーンを何度も入れる演出もなく見ごたえのある展開が面白かった》

 といった声がSNSに多く寄せられている。

 日本アカデミー賞最優秀主演男優賞俳優の草なぎの演技力だけでなく、演出や脚本にも恵まれている『罠の戦争』。快進撃は4話以降も続きそうだ。