子どもを車内や自宅に放置することを禁じるとした埼玉県虐待禁止条例改正案が、自民党埼玉県議団から議会に提出されたのは10月4日のことである。一時は13日に開催された議会最終日に可決されるかとも見られていたこの条例案。

 しかし、これが、一人親家庭や共働き世帯の生活実態に即していない、と県民が猛反発。県には1000件以上もの反対意見が寄せられるや、13日、自民党県議団も条例の提案を断念した。

 そもそもなぜ、この様な条例が提出されるに至ったのか。埼玉県政を担当する記者が明かす。

「10日に行なわれた条例に関する説明会見で“議案の内容に瑕疵(かし)はなかったと思うが、説明が不十分で不安が広がったと猛省している”と明かした、自民党埼玉県議団の田村琢実団長が条例の立案者」

 田村県議とはどの様な人物なのか。

「海部俊樹総理の下で、外務大臣を務めた中山太郎衆院議員の秘書をきっかけに政治の世界へと足を踏み入れた。議員秘書を務めた後に県議選へと出馬。1度落選を経験し2007年に初当選。現在が4期目です。周囲には“いつか国政に出るんだ”と豪語するなど上昇志向の持ち主。目立つ政策を立案して、25年の参議院選に出馬する腹積もりだったんだとか」(前同)

 功名心が先走った結果、市民目線ではない政策が生まれたというわけか。