■金子恵美さんが解説「県議という仕組みが条例提出と関係している」

 今回の騒動の背景には「“県議”という仕組みも関係している」と話すのは、新潟県議を務めた後に衆議院議員として国政の場を経験した金子恵美さんである。

「県議というのは市民生活に直結する市議や区議と比べると、住民とつながりにくい。市議であれば、ガードレールの設置に奔走したり、通学路の整備を提案したりと自分の政治活動が有権者の暮らしに直結する。そのため、市民とも向き合いやすい。

 ところが、県議ともなれば県政の場において絶大な力を持ちますし、また多くの地方議会で自民党の県議ともなれば議会内で最大勢力となります。提案が議会を通過しないなんてことは起こりませんし、周囲からは“センセイ、センセイ”と持ち上げられ、内向きな組織になりがちなんです」

 また、今回の政策には市民目線が欠けていたとも金子さんは指摘する。

「理念として“子どもの安全を守る”というのがあったとは思います。欧米では、子どもを車内で一人にしてはいけないとか、子どもだけの留守番を禁じると州法で定められた地域もある。

 ただし、欧米と日本では社会の仕組みも違えば、子育てへの考え方、理解も異なります。日本では官民問わず、子育て世代への働き方改革も十分ではない。それなのにルールだけ欧米をマネようというのは浅はかでは」