■金子さんが提案する待機児童解消案
反発を招いた背景にはこの条例改正案が成立した場合、最も影響を受けるであろう親世代への説明が不十分だったことが影響しているという。
「この条例は子育てを行なう親の行動制限を強いるような内容だった。そもそも現状の子育て環境は十分ではありません。埼玉県であれば共働き家庭の小学生などが利用する“放課後児童クラブ”の待機児童数が1200人以上おり、東京都に次いで多い。
その様な状況下で低学年児童が一人で登下校をしたり、外で遊ぶことを”放置にあたる”と禁じても子育てを行なう親への負担が増すばかりです」(前出の金子さん)
今回の改正案では、子どもを自宅や車に放置するだけでなく、子どもたちだけで公園で遊ばせたり、登下校をさせることも”放置”にあたるとして禁ずるとしている。
「子育て支援が十分ではない状況で、子育て当事者への丁寧な説明もなく、意見を聞いて調整することもなく、提案すべき条例ではない。政治家として傲慢な進め方が社会の反発を招いたということです」(前同)
金子さんならば、この状況を改善すべくどの様な政策を提案するのか。
「働くお母さんたちが仕事を続けたまま、子どもを預けられる受け皿作り。学童保育の施設や職員を増やすための支援策などは充実させるべきです。また、虐待防止という点では24年度から児童相談所の職員らを対象に“こども家庭ソーシャルワーカー”という資格が新設されます。
資格を持った人は児相や保育所で児童虐待に関する相談を受ける様になる。こういった資格取得者への財政的な支援も欠かせません」
理念を掲げて政策を立案するのも良いが、まずは市民生活の実態に即した環境整備が議員センセイには必要ということか。
金子恵美(かねこ・めぐみ)
1978年2月27日生。新潟県出身。早稲田大学第一文学部卒業。新潟県月潟村で首長を務めていた父の影響で政治に興味を覚える。以後、新潟市議会議員、新潟県議会議員を経て国会議員となる。議員生活10年目となる2017年に行われた第48回衆議院議員選挙で落選し、政界を引退。以後は、『めざまし8』(フジテレビ系)、『ゴゴスマ』(TBS系)などでコメンテーターとして活躍を続ける。男児の母でもある。