■航空機の研究開発は挫折する?

「社名が菱崎で旅客機の製造と聞けば、まず三菱重工がモデルでしょう。作中ではその菱崎が旅客機の研究開発を行うという設定ですが、これは三菱重工が国とともに乗り出した国産初の日の丸ジェット旅客機、MRJの開発を思い起こさずにいられません。しかし、そのMRJは10年以上の時間をかけたにもかかわらず、失敗を重ね続け、結局、計画は凍結されました。菱崎も同じ道をたどらなければいいのですが……」(ビジネスライター)

 同じことを考えた視聴者は多かったようで、ツイッターには「リーマンショックから立ち直った後にMRJに飛び込むのか」「菱崎重工が三菱重工っぽいので、MRJっぽいプロジェクトに参加するのは止めた方が良い気がする(未来人の感想です)」など、先行きを心配する声が多くあがっている。この感想のように、『舞いあがれ!』は再び暗黒ドラマへと転落してしまうのか?

 しかし、IWAKURAが試作したネジが無駄にならない展開も予想できる。実はMRJと同じく2000年代に開発がすすめられたホンダの小型ビジネスジェット機、ホンダジェットは、無事に開発成功し、15年に運用が開始。現在は小型ジェット機のベストセラーとなっているのだ。

 菱崎の研究開発が頓挫したとしても、小型ジェット機へのネジ供給という道があるとしたら……。これまでさまざまな困難を乗り越えてきた舞ならば、きっと成功させるに違いない。

 しばらくはしんどい展開が続きそうだが、「舞いあがれ!」と叫びたくなるようなフィニッシュが来るに違いない。それまでは粛々と、舞の奮闘を見守ろうと思う。(ドラマライター・板橋六郎)