■「ナンパもできない」渋谷ハロウィンの実情

 24年3月末までに、これら一連の安全対策にかかる予算はトータルで2億3000万円にものぼる。こうした安全対策の影響もあってか、10月31日ハロウィン当日の直前、10月最後の週末である10月28日と29日の渋谷では、目立った迷惑行為などは見当たらなかったという。

 ハロウィンを覗きに行った都内に住む男子大学生が、渋谷の厳戒態勢を苦笑混じりに語る。

「可愛い女の子をナンパしたいと思い、来てみたんですけど、仮装している人が全然いませんね。駅を出たタイミングで『呪術廻戦』(集英社)のキャラクター五条悟に扮した人とすれ違ったくらい。それどころか、3メートルおきに警察官は立っている。少し道端で立ち止まろうものなら“歩いて下さい”と声も掛けられますし……。これじゃあ、女の子に声をかけて、L I N E交換をするなんてことはできませんよ」

※画像は宮益坂側の歩道。一方通行になるように規制がかけられた

 前出の渋谷区民も「区の対応は過剰では?」と言う。

「区が予算を割いて、私たちの生活を守ってくれるのは確かにありがたい。ハロウィンだからといって渋谷の街でバカ騒ぎが起こることもなくなりました。しかし、人が大挙して渋谷ハロウィンへと訪れる可能性があるからといって、区が運行しているコミュニティバスを臨時運休する必要まであるのでしょうか。

 椿屋珈琲やバーガーキングといったチェーン店も閉店時刻を早めたり、臨時閉店したりしていて超不便。安全を守るのは大切ですが、それで日常生活すらままならないとなってしまうと本末転倒な気もします……」

※コミュニティバスも時本数が減らされた