■キムタクの“こういうのをやって大丈夫なんですか?”が的中することに

 木村はドラマ公式サイトにて、《今回の連ドラ化は思い切った試み(中略)その曜日のその時間帯(月曜よる9時)で、“こういうのをやって大丈夫なんですか?”という作品を作ることになると思う》と、コメントしていたが、その不安は的中してしまっていた。

「『教場0』は、刑事の成長に重きを置いた半面、各事件のトリックが強引すぎてツッコミどころが多かった。また、作風が“月9”のイメージに会わない、非常に重苦しい空気感だったため、“観ていて辛い”という声が非常に多かったですね。『教場』は、単発ドラマだからこそ受け入れられる世界観だったのでしょう」(前出の制作会社関係者)

 対する『真夏のシンデレラ』は、夏の湘南を舞台にした、男女8人の恋愛群像劇。月9の「原点回帰」を狙い、同枠で7年ぶりとなる王道のラブストーリーを、旬でフレッシュな美男美女の俳優陣で描いた。脚本も若返りを意識したのか、昨年に同局の「ヤングシナリオ大賞」を受賞した市東さやか氏を起用。

 しかし、視聴率は振るわず、平均世帯視聴率は5.6%という結果に終わった。

「『真夏のシンデレラ』は、これまで数々のフジテレビ系のイケメンドラマを作り上げてきた超やり手の女性プロデューサーも携わっていたといいます。

 ただ、いきなり新人の市東さんに月9の脚本をやらせたのは、結果的には厳しかったですよね。コテコテすぎる恋愛シーンや、ご都合主義的な描写も多く、やはり脚本面の評判がかなり悪かったですよね……」(前同)

 そして、現在の『ONE DAY』には、群像劇の裏側に、悲しい懐事情があるという。

「テレビ不況の時代ですが、フジテレビは特に台所事情が厳しいと言われています。今秋以降はまたしても多くの番組の予算がカットに。最大で30%程度削減になる番組もあると言われ、未曽有の事態に直面している、とまでささやかれています。

 それはドラマ制作も同様。そして『ONE DAY』の場合は、群像劇の作風を生かして、ドラマを3分割することで俳優の稼働時間を減らすことで、主演3人のギャラを抑えているといいますね」(前同)

 こうしてガタガタになってきているフジ「月9」枠だが、困り果てているのは番組スポンサーだという。

 広告代理店関係者が話す。

「番組にCMを出すスポンサーは、単純に視聴率が取れないから困っているのではありません。もちろんそれは大問題ですが、企業、代理店サイドは“この枠ならこの商品が視聴層に刺さるだろう”と想定してCMを入れますよね。

 ところが、現在の月9は路線がバラバラすぎて、どの層をターゲットにしているのか分からない。そのため、スポンサーが困惑している、ということです。特に今夏の、重厚な『教場0』から若者向けのキュンキュン作品の『真夏のシンデレラ』へのバトンタッチの落差はひどかった。両ドラマともコア視聴率はまずまずだったのですが、内容、視聴者層はまるで違うもの。スポンサーサイドが大困惑している、と聞こえてきましたね。

 一方で、視聴層をしっかりと固めているTBSは大成功していますよね……」

 TBSは、火曜ドラマ枠なら「恋愛もの」のようにハッキリと枠ごとに路線が定まっている。

 とりわけ、7月クールには堺雅人(49)主演の『VIVANT』が社会現象を巻き起こした「日曜劇場」枠は、コンセプトを明確に決めてあるという。

「日曜に家にいて、夜テレビを見てくれる可能性が高い、男性サラリーマンに狙いを定めて作品づくりをしているといいます。『半沢直樹』のような企業ものとか、現在放送中の、鈴木亮平さん(40)主演で“甲子園を目指す”野球ドラマの『下剋上球児』など。男性受けする作風ですよね。まずはそこにしっかりと見てもらい、他の層にも広げていく、という戦略だといいます。

 フジの月9はそこがあやふやになってしまっている、と……」(前同)