■フジ月9“凋落”の「戦犯」は――

 また、予算面でも大きな違いがあると言われている。

「『VIVANT』は、超一流の俳優陣、2か月半のモンゴルロケや大多数のエキストラなど、1話の制作費が1億円とまで言われた作品。後々、海外に配信することで取り返すとも言われていますが、赤字も覚悟のうえで制作した作品と考えられますよね。それが許されるのは、赤字を補填できる潤沢な資金があるからです」(前出の広告代理店関係者)

 フジが予算に苦しむ一方で、TBSには『VIVANT』のような無茶が許されている理由――それは、本業とは別に行なっている、不動産事業や半導体事業が好調という背景が影響しているようだ。

「TBSは不動産業が好調で、“赤坂不動産”とも言われるほど。加えて、100%子会社として過去に設立された半導体製造装置大手の東京エレクトロンの株価が半導体バブルで上昇。その配当収入だけでもかなりの金額があるといいます。

 ざっくり言うと、TBSは放送外のビジネスが成功していて、豊富に予算があると。そこが予算が厳しくてチャレンジできないフジと、TBSの決定的な差なんでしょうね……」(前同)

 TBSのドラマは、以前から「日曜劇場」などで実績があったが、今夏の『VIVANT』はテレビ離れが進む令和の世でも社会現象を巻き起こした。今後も「ドラマといえばTBS」の立ち位置は、より不動のものになっていくだろう。

「TBSのドラマは芸能プロダクションからの信頼も厚く、所属するトップ俳優のスケジュールを、かなり早い段階で“渡して”もらえるといいます。2年先のドラマでも、プロダクションは俳優のスケジュールを押さえてくれる。『日曜劇場』などでは端役でさえ注目されることが多いのだから、当然ですよね。

 逆にフジの月9は、ここにきて信頼をどんどん失っているので、“月9にはもうウチの俳優を出さない方がいいんじゃないか”というような空気にさえなりつつある、とも聞こえてきていますね……」(同)

 凋落のフジテレビ“月9”の“戦犯”――、

「それは、やはりブランディング、ターゲッティングなどをしっかりと行なえていない、局やドラマ制作の上層部だと言えるのでしょうね。もちろん、予算面も問題は大きいのですが……上層部の方針、決断がTBSとフジテレビの明暗をくっきりと分けてしまったと考えられますね。

 一部では、来年1月クールのフジ月9は、永野芽郁さん(24)、山田裕貴さん(33)がメインキャスト候補に浮上していると噂されています。2人のような人気と実力を兼ね備えた俳優であっても、現在のブランディングが下がってしまった月9で好結果を収めるのは、至難の業な気がしますね……」(前出の制作会社関係者)

 かつては、ドラマといえばフジの「月9」というイメージもあったテレビ業界。その栄光も、今は昔か――。