■“『ドラクエ』の悪夢”の再来が不安視されている

 そんな『ゴジラ‐1.0』が、なぜ特撮ファンの間で不安視されているのか。その理由は、4年前に山崎監督が総監督・脚本を務めたCGアニメ映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019年)が強く関係している。

『ユア・スト-リー』は、ドラクエシリ-ズでも人気の高い『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』を原作に作られた映画作品。尺の都合で駆け足気味ではあったが、原作の世界観が表現されていて、終盤までの出来は悪くなかった。一部の設定が変更されたパ-トも、むしろ良アレンジと評判が良かった。

※画像は『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の公式X(ツイッター)『@DQ_MOVIE』より

 ところが、クライマックス、あとは“ラスボス”を倒すだけの場面で、物語の根幹がひっくり返る「真実」が明らかになる。その内容が誰も望んでいない、ハッキリ言えば最悪の一言に尽きる内容として、多くの原作ファンを落胆させる結果になってしまったのだ。詳細は伏せるが、劇中の「大人になれ」という一言が、特にファンの逆鱗に触れた。

 現在も、山崎監督には『ユア・ストーリー』での“ヤラカシ”が尾を引いている印象で、『ゴジラ』のファンからは、

《『ゴジラ‐1.0』予告映像とキャストを見る限り凄いワクワクするし試写の評判良さげだけど『山崎貴 脚本』という1行だけが歯に詰まってブチ上がりきれない(ドラクエ ユア・スト-リ-の呪い)》
《山崎貴監督のドラクエ5はオチで全てを台無しにしたので、ゴジラも予告編で過度に期待してはいけない》
《ゴジラのCMで「あれはゴジラ?」ってセリフあるけど1よりも前なのにゴジラを知ってるってなんでなんかなゴジラを知ってる現代人が何の因果かあの時代に転移するくらいしか思い浮かばんな……ドラクエというでかい前科があるからなぁ……まさかなぁ……》

 といった声が、SNSにも多く寄せられているのである。

 とはいえ、山崎監督の特撮技術は非常に高く評価されているし、今年上半期に大きく株を上げた神木・浜辺の『らんまん』夫婦コンビも活躍するはず。何より山崎監督は、ゴジラを “夢オチ”として『ALWAYS』に登場させるほどの、ゴジラ愛好家でもある。素晴らしい作品が観られると信じたい――。