■アメリカでの利用者からは「ストーカー被害」の声も……
一方で課題も多いという。米国在住で過去にライドシェアサービスを使ったことがある40代女性・吉田望さん(仮名)によれば、
「米国でライドシェアといえば、日本におけるタクシー配車アプリからハイヤーのようにプロのドライバーが高級車を運転するタイプまで様々です。中には向かう方向が同じ他人同士が相乗りするパターンも。
料金もシェアするので割安ですが、車を降りた後に同乗者につきまとわれたと明かす人も少なくありません。私も過去にストーカー被害の経験があります。その時は、家から少し離れたところまで主人に迎えに来てもらいました」
米国ではサービス開始時に、いつでもどこでも車が呼べるとして画期的なサービスと称賛されたものである。しかし、サービスが認知された今では、利用者から恐喝や強盗などの被害に遭ったとする声も上がり始めている。
これら一連の声を、ライドシェアサービスのライバルにあたるタクシー会社はどう捉えているのか。東京都と神奈川県を中心にタクシーやバスなどの運行を手掛け、「ライドシェアサービスに反対」と表明する『日の丸交通』で広報を務める福家孝之氏は、
「ライドシェアの解禁により、危険運転が増えるのではと危惧しています」
と、その反対理由を明かす。背景にあるのは、02年に施行された改正道路運送法だ。タクシー事業は従来、免許制だったが、法改正により許可制へと変更。その結果、都内だけでも6000台もの新規参入や増車が行なわれた。
「結果、都内では1台あたり1日の運送収入は51348円だったのが、49475円へと減少。乗務員間でもお客様の奪い合いが起きました。
路上で手を上げてタクシーを止めようとするお客様の前に我先にと割って入る危険運転も増加。ライドシェアが解禁となれば、公共交通機関として安全なサービス提供が難しくなるのではないか、と危惧しています」(前同)