■“サスペンス要素”と鈴木の売れ過ぎが裏目に

「第4話に限っては、日本シリーズの裏だったことも影響していますが、それを差し引いても『下剋上球児』は数字で伸び悩んでいる。以前から同スタッフが得意としている“サスペンス要素”に難色を示す視聴者が多かったのですが、今回は本当に刑事ドラマみたいな絵面だったし、今後ますます加速してしまうかもしれませんね」(前出のテレビ誌編集者)

『下剋上球児』を手掛けるのはTBSの黄金コンビと名高い、新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督。

 新井×塚原コンビはTBSで石原さとみ(36)主演の『アンナチュラル』(2018年)や綾野剛(41)と星野源(42)のダブル主演ドラマ『MIU404』(2020年)、吉高由里子(35)主演の『最愛』(2021年)などなど、暗い過去を持つ人間の心理をち密に描くドラマを多く手がけてきた。

 新井プロデューサーは『下剋上球児』の見どころについて、

「王道の日曜劇場とはちょっと違うサスペンス要素も足しています。先生たちにもそれぞれ物語があって、野球以外の部分もたくさん描かれています」

 と、10月15日に『オリコン』のインタビューにて答えている。

「新井プロデューサーは大の高校野球マニアで、高校野球がずっと流れている居酒屋に行き、どの試合か当てられるレベルだそうです。そのため、野球の描写にはかなりこだわりがあるといいますし、何よりも『下剋上球児』は、聖地ということもあってなかなか貸してくれない甲子園でも撮影したことが明らかになっています。

 しかし、青春ものである『下剋上球児』の本ストーリーと南雲の不穏な描写のミスマッチ感は拭えず、どうしても『MIU404』や『アンナチュラル』、『最愛』などの影がちらついてしまう、といった不満の声も、多く寄せられている。

 また、今回の“『テセウス』被り”もそうですが、鈴木さんが人気俳優すぎて、さまざまなドラマに引っ張りだこで過去作の印象が残りやすい俳優だったことも、影響しているかもですね。鈴木さんはカメレオン俳優ですが、“いつも善人だけど陰がある役ばかりな気もする”といった声も出始めています」(制作会社関係者)

『下剋上球児』は業界が最重要視している13~49歳のコア視聴率も、第3話(10月29日放送)は3.2%と悪くはないが爆発的に高いということもない。

「前クールの堺雅人さん(49)主演作『VIVANT』は最低コア視聴率が第2話の4.6%、最高コア視聴率が最終回の10.1%で、全話平均コア視聴率が6.9%でした。『VIVANT』はあまりにも規格外の作品でしたが、『下剋上球児』も放送枠が同じ日曜劇場だと考えると、ちょっと寂しいですよね。

 ただ、『下剋上球児』に限らず今年の秋ドラマは全体的に数字が不調で、全滅状態になってきています」(前同)