■過去には死者も……それでも阪神ファンが飛び込むワケ

 ワイドショー関係者が明かす。

「阪神タイガース優勝時の風物詩とも化している“道頓堀ダイブ”ですが、2003年のリーグ優勝時には5300人以上が飛び込み、死亡者も1名出ています。

 死者こそ出ませんでしたが、05年のリーグ優勝、9年ぶりとなる日本シリーズ進出を決めた14年巨人を相手にクライマックスシリーズを突破した時も“道頓堀ダイブ”は見られました。

 道頓堀川の水深は、平均して3.5メートルと溺れる危険も十分。近年、浄化が進んでいるとはいえ、川には大腸菌も生息している。川の水を飲んでしまえば、お腹を壊すリスクもあります。吉村知事が警戒を呼びかけるのも当然です」

 厳戒態勢の甲斐もあってか、阪神タイガースが日本一を決めた直後に、道頓堀川へと飛び込んだのは37人のみ。一大事へとつながる事故もなかったわけだが、それにしても、タイガースファンはなぜ、道頓堀川へと飛び込みたがるのか――。大阪在住の精神科医の片田珠美医師は、「タイガースファン特有の心理が関係している」と指摘する。

「日本一になったのも38年ぶりで2回目。長きに渡る低迷から“ダメ虎”とも呼ばれました」(片田医師)

 現に1987年から01年にかけては15シーズン中10回も最下位に沈んでいる。それでも応援し続けるのは、ファンが負けっぱなしのタイガースに自身の人生を重ね合わせているからでは? と、片田さんは指摘する。

「負けっぱなしの阪神を見て、自身の人生と重ね合わせている人が少なくないのだと思います。これを精神分析では同一化と言います」

 自分の人生でいつかは成功したいという気持ちを、負け続ける阪神タイガースの惨状に重ね合わせていたファンは、タイガースが優勝すると“いつかは俺も”という気持ちを抱くのだという。

「いつかは自分もタイガースのように飛び立ちたい。負けっぱなしの人生から脱却したいという想いが道頓堀川へのダイブにつながるのではないでしょうか」(前同)