■大阪経済界の地盤沈下が影響……関西人は注目を浴びたい⁉
川は世の中に数多ある。それでは、なぜ、タイガースファンは道頓堀川をダイブの場所へと選ぶのか。
「注目を浴びたい。優勝してヒーローになったタイガースのようになりたいという自己顕示欲があるのだと思います。道頓堀川は汚いことで有名ですが、大阪の繁華街のど真ん中にあり耳目を集めやすい。そこに飛び込むことで注目を浴びたいのでしょう」(前出の片田医師)
なぜ、関西人は注目を浴びたがるのか。その背景には大阪経済界の地盤沈下が影響しているのではと、片田氏は分析する。
「大阪は昔から東京と並んで二大都市との自負があったはず。現に日本の高度経済成長期を支えた電機メーカーも数多存在しました。しかし、16年にはシャープが台湾企業である鴻海精密工業に買収されていますし、パナソニックにもかつての勢いはありません。
当然、経済界を支えてきた大手企業が傾けば、下請け企業にもその影響は及びます。人口も大阪市と比べて横浜市の方が多いですし、かつての勢いはありません」
太閤殿下・豊臣秀吉が作り上げた商人の街として大阪が栄えたのも今は昔。冷え込む経済状況が“いつかは大阪だって”という気持ちにつながるのだという。
「巨人V S阪神は伝統の一戦として人気がありますが、それだって東京V S大阪の対抗心の表れです。東京に勝ちたい、注目を浴びたいという気持ちも道頓堀川へとダイブするタイガースファンの心理に影響しているでしょうね」(前同)
タイガースファンが道頓堀川へとダイブする背景には、様々な事情があるというわけだ。
片田珠美
広島県生まれ。大阪大学医学部卒。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。パリ第8大学精神分析学部で学ぶ。『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)、『高学歴モンスター』(小学館新書)など著書多数。