神奈川県内にある建物の一室から、警視庁の捜査官に囲まれて、取調室へと任意での事情聴取に1人の男が送り出されたのは11月13日午前のことである。任意での事情聴取を経て、男は逮捕。杉田一明容疑者としてメディアに報じられることとなった。杉田容疑者は『煉獄コロアキ』の名前でYouTube活動を行う40歳の男性だが、『煉獄コロアキ』とは誰なのか。
「X(旧ツイッター)のフォロワー数7万人超えのYouTuberです。最近では、コンサート会場でチケットの転売をしようとした女性を捕まえてはカメラの前に引きずり出し“私人逮捕”と称する行為を繰り返す、“私人逮捕系YouTuber”となっていました。
いわば、迷惑系YouTuberですが、最近では行為が行き過ぎていたためか、11月10日にはチャンネルがYouTube上からポリシーに違反するとして削除されています」(ウェブメディア編集者)
聞きなれない、私人逮捕という言葉だが、その定義はどのようなものなのだろうか。
「通常、容疑者を拘束できるのは警察官のような捜査機関に所属する者に限られます。しかし、現行犯に関してはその限りではなく、民間人でも逮捕できる。
これが“常人逮捕”“私人逮捕”と呼ばれるものです。刑事訴訟法にも定められていますが、現行犯逮捕した場合は、すみやかに検察官や警察官に引き渡す必要があります」(全国紙社会部記者)
実際に私人逮捕が行なわれるのはどの様なケースがあるのだろうか。元神奈川県警刑事の小川泰平氏が、自身の経験を基に話す。
「最も多いのは痴漢です。電車内で被害に遭った女性が、“この人痴漢です”と叫んで腕を掴み、最寄駅で電車を降りる。その場で110番通報をすれば私人逮捕が成立します」