■共犯者の“最有力候補”には1つ大きな疑問点がある

 一方、この事件に「共犯者」の存在を指摘する声もある。

「関係者で東京の春樹の弁当に毒キノコを仕込むのは、いつもは東京にいて、鈴木の娘である理沙がもっとも適任です。動機は、“村を守るため”だと考えられていますね。ちなみに理沙を演じる森山未唯さんは“美人すぎる”と大注目になっています」

 理沙は、津田に対して切ない表情で「この景色が大好き」と村を見つめるシーンがあった。手毬唄の「畑を荒らす」を「村を荒らす」だと解釈すると、五百旗頭の一族を全滅させることが、村を守ることにつながるのではないか――。

《五百旗頭家は村長が村の祭り事をYouTube企画に使うなど村の歴史を重んじていないもしくは廃村にする計画があった?》
《あの高台はトリックを解明するのに役立つのか、それともリード役だからないとは思うけど高台からの風景が好きで壊されたくないってのが動機なのか》
《津田さんと一緒に捜査してくれてる子が怪しい気がする。村を守るためかな?》

 といった声が、多く寄せられている。

「五百旗頭家によって美しい村が破壊されるのを止める――ということですよね。ただ、この推理には“企画の第2弾”として考えると1つ問題があるんです。このまま理沙が犯人だと、“美人で若いヒロイン枠の女性が犯人”という展開が、『名探偵津田』の第1弾とモロ被りしてしまう。セオリー的に、それは避けるはずですよね。

 また、本筋に絡んでいないように見える人物が実は重要な存在、というのはミステリーあるあるですが、それも考慮すると逆に存在感が薄い、綿貫家のみち子が怪しく思えてきます。真の共犯者は、綿貫みち子の可能性もあるでしょう」

 綿貫、わたぬき、わ“たぬき”――実は手毬唄は、五百旗頭家が綿貫家に対して行なった仕打ちを後世へ語るために残した「呪いの手毬唄」だったのではないか、とも考えられる。

「何より、春樹は“じいさん”の鈴木家を警戒していた。東京に住んでいるとはいえ、娘である理沙も警戒しているかもしれませんよね。そんな人間から渡された弁当を食べるとは考えにくい。毒キノコの見た目はマイタケに酷似しているため、春樹に警戒されていないみち子が、毒キノコを“お裾分け”などと偽って、東京の春樹に送ったのかもしれません。

 1つ言えるのは、わざわざ手毬唄になぞらえてむごい殺し方をしている以上、動機も相当なものでしょうね。今年1月の前作は”山岳部員たちの嫌がらせが原因で、兄が滑落死した復讐”というものでしたが……今回の事件も、考えさせられる深い動機が次回で明らかになるのではないでしょうか」

 先祖の憎しみが生んだ復讐劇なのか。それとも、村を守りたい思いが暴走しての悲劇なのか。国民的ドラマ『VIVANT』に負けず劣らず、重厚なドラマのようなラストを迎えそうな『名探偵津田』。完結編の真相に期待したい――。