■そば、つゆ、コロッケ……すべてが渾然一体に

 半分ほど食べ進めたところでいよいよコロッケに着手。2つに割って……さらに2つに割る。

 

 漫画と同じようにこの店のコロッケもニンジン、コーン、グリーンピースとミックスベジタブルが入っている。ひろしが納得するようにコロッケがいい感じに汁を吸ってグダグダになっていて、これがまた絶妙に旨い。

 

 残り半分のコロッケはバラバラに崩してしまう。少々ビジュアルは悪いが、ここからは丼を手に持ってかき込んで食べる!

 そばもコロッケのかけらも汁も時々現れるミックスベジタブルも、すべてが渾然一体となって口の中に吸い込まれていく。ひろし曰く、「これが一人前になった立ち食いそばの流儀!!」だという。

 

 立ち食いそば研究家の本橋隆司氏はコロッケそばの食べ方についてこう語る。

「コロッケそばは、どの程度までコロッケをそばつゆに浸すかがよく議論の対象になりますよね。そしてひろしのこだわりの食べ方のように割るタイミングもたしかにあります。

 一方で、コロッケを別皿で注文する人もいますし、しみていない状態のコロッケをまず食べて、その後、ひろしのようにそばつゆに放置してグズグズにする人もいます。そばつゆを楽しみたいならまずそばつゆだけを飲み、コロッケの脂がしみ出してだんだん変わっていく味を楽しむのもいいですよね。

 ラーメンやうどんにはコロッケトッピングというのはほとんどない。それが立ち食いそばにはあるというので珍しがられますよね。千差万別、食べ方は自由ですが、ひろしの食べ方には彼のプライドを感じますね」

 ひろしのように、自分なりのコロッケそばの食べ方を探ってみるのも面白いのでは!

(C)臼井儀人・塚原洋一/双葉社