11月19日は、男性の健康・ジェンダーについて関心を高める「国際男性デー」。男女の性差に関わらず、一大関心事として扱われる健康問題。そんな中、『男がつらいよ』(KADOKAWA)などの著書がある、大妻女子大学人間関係学部の田中俊之准教授(男性学)が、日用品大手のユニ・チャームが11月15日に開催した男性の尿モレケアの啓発イベントに登壇。男性の体や男性器をめぐって、「雑な扱い」がされている現状を訴えた。

 男性では、尿切れの悪さや下着・衣類へのシミといった尿トラブルは珍しくない。同社が今年行なった20代~60代の働く男性1009名を対象にした調査では、年代別で「尿トラブルがある」という割合が最も多かったのは50代で65%。以下60代が62%、40代で53%と続いた。20代でも37%が「ある」と回答しており、世代を問わない問題でもある。

 ただし、「尿トラブル」経験のある400名を対象に実施した調査では、尿モレ用のケア用品を「使っている/使ったことがある」と回答したのは、50代で3%に過ぎない。40代で11%、60代でも9%にとどまった。尿トラブルを自覚する男性にとって、ケア用品の使用が生活に根付いているとは言えない状況だ。

 田中准教授は、「尿モレ対策は女性がするものという偏見がある。男性も自分の体に気を遣うべき」と、「国際男性デー」に合わせて性の平等や男性の健康の観点から呼びかけた。

 男性の尿モレに鈍感だったのは、なにも当事者に限らない。尿モレ用品を開発する企業も男性向けケア用品市場へとスポットライトを当てるのには時間を要したようだ。

 ユニ・チャーム社が、女性用の尿モレケア用品市場に参入したのは1997年のこと。その一方で、男性向けの商品展開が始まったのは2014年から。『ライフリー さわやかパッド 男性用』(20cc・26枚入/80cc・18枚入/200cc・14枚入、いずれも税込830円)を展開したのが始まりだ。

 以来尿量に応じた薄型パッド商品の拡充に努め、現在は10、20、45、80、120、200、250cc用の7種類を販売している。

 さらに23年4月にはパッドよりも手軽な『ライフリー さわやか男性用快適シート』(3cc・22枚入/5cc・20枚入/10cc・18枚入、いずれも税込550円)を発売開始。細かい容量展開は排尿トラブルの程度には個人差が大きいためだという。

 ユニ・チャームでグローバル開発本部第一商品開発部のチーフテクノロジストを務める髙阪翔士氏は、男性用尿モレケア用品開発のきっかけについて「お客様相談センターに寄せられた一人の声だった」と振り返る。性器の違いがあるため、女性用のものを男性が使用するとどうしても外へ漏れる。どうにかならないかという相談だった。