■ハンバーグから乱れ始め……ラーメン&デザートまで

 ひろしは次にトロをチョイス。いつもは普通のトロを食べているというが、原作では贅沢して一貫200円の大トロを頼んでしまう。文句なく美味い。

 

 しかし、大トロを待っている間、手持ち無沙汰のひろし。レーンを回っている寿司から、しんのすけがよく食べているというハンバーグ寿司が目に入ってしまう。「試してみるか?」と逡巡するも「こんなもの粋じゃない」と一度は手を止める。ところが、しんのすけがあまりにも美味しく食べていることを思い出し、思わず手に取ってしまう。

「オレは一線を越えてしまった!!」――そう後悔するひろしだが、実際に食べると「おおっ! 美味いじゃないか」と驚きの表情を浮かべる。筆者も初めて食べてみたが、シャリonハンバーグは、柔らかくジューシーで美味しい!

 

 ここからひろしのリズムは乱れていく。普段頼めないものをもっと頼んでしまおうと、豚カルビを注文。豚の脂と塩ダレと酢飯がマッチしていて、ついついあと何皿かいきたくなる。

 

 続いて海老天(原作ではエビフライ)。揚げたてで席に設置されている塩と合わせると酒の肴にも最高だろう。

 

 子どもたちが大好きなコーン。ひろしも「コーンとマヨネーズが乗っているだけなのに美味い!」と絶賛している。

 

 そして、ひろしは自ら「無粋の極み」と言いつつもラーメンまで注文。寿司を食べにきたはずなのに食べるラーメン。筆者は味噌ラーメンを注文した。しっかりと出汁と味噌のうま味を感じ、中太ちぢれの卵麺がスープによく絡む。

 

 最初に言っていたことはどこにいってしまったのか。ひろしは「もはや伝統などどうでもいい」という考えに至り、デザートまで注文。しんのすけですら100円のデザートしか食べたことがないにもかかわらず、200円のものを注文し、しっかりと堪能する。

 筆者も100円では食べられないガトーショコラを注文。濃厚なチョコレートはもはや高級なケーキの味がする。緑茶を濃いめに淹れて合わせるのもいい。

 

 最初のうちはこだわりを感じたひろしの回転寿司。ところがハンバーグ寿司から一気にリズムが乱れ、ひろしが言うところの「伝統食」から逸脱していく。

 しかし、あらためて回転寿司には老若男女が楽しめるメニューがそろっていると感じられるひろしの回転寿司の流儀。だいぶお腹いっぱいになるけど……。

(C)臼井儀人・塚原洋一/双葉社