煌びやかなネオンに彩られる眠らない街、東京・新宿歌舞伎町。都内随一の繁華街として知られ、飲食店が軒を連ねるこの街に緊張が走ったのは11月27日のことである。

 報道番組スタッフが語る。

「全国にある警察組織の頂点である警察庁。そこでトップを張る露木康浩長官が、歌舞伎町を視察に訪れたのです。警察庁長官が自ら、歌舞伎町を見回るのは路上でのスカウト行為を禁止する迷惑防止条例が成立した2005年以来、19年ぶりのこと。異例中の異例です」

 ダークスーツに身を包んだ男性陣が四方をぐるりと囲んで執り行なわれた、トップ官僚による巡回警備。「道端には30メートル置きに制服警官が、立っていた」(歌舞伎町の飲食店関係者)というのだから只事ではない。厳戒態勢視察の裏には何があるのか。

「ホストクラブへの規制強化です。岸田文雄首相も11月24日に衆院予算委員会で、若い女性客がホストクラブで高額のツケを背負わされていることに関して“犯罪グループが背後で不当に利益を得ている可能性も視野に対策を進めている”と発言。

 店へのツケ返済のために、“海外での売春を勧められる事例があるとも承知している”と述べ、問題視している姿勢を示しました。この発言を受けて、捜査当局としても動かざるおえない状況になったのです」(前出の報道番組スタッフ)

 岸田首相も問題視する、ホストクラブの「ツケ制度」。このシステムは、業界内で売掛金と呼ばれている。歌舞伎町ホストクラブ事情に明るい人物が、その仕組みを話す。

「歌舞伎町のホストクラブでは、シャンパンボトルが1本安いもので10万円。高いと100万円を優に超えます。客の多くは当然、現金で払えない。その場でホストが青伝と呼ばれる、明細のないその日の飲食代のみが記された手書きの伝票を客へと渡し、高額の飲食代をツケにする。このツケが売掛金と呼ばれるものです」

 青伝に記される金額は、サービス料や指名料などが加算された総額で店の言い値となる。そのため、客へと渡される青伝には一晩で50万円~100万円を超える数字が記載されることもざらだ。

「店がホストに金を貸し、ホストが女性客の飲食代を立て替えたという形を取るため、個人間の金のやり取りという建前です。そのため、客の親族や友人が店へと売掛金の返済に出向いても店は”個人間のお金のやり取り”を理由に金を受け取らない。支払期日もあってないようなもの。女の子が自分で直接、店へとお金を払いに行って、ホストに売掛金を完済しない限りなくならない仕組みなのです」(前同)