■ここからは富田望生が支える!

 富田は、2000年2月25日生まれ、福島県いわき市出身。数々のエキストラを経験後、15年3月公開の『ソロモンの偽証』で映画初出演。このとき、役作りのため15キロも体重を増やしたという。今年4月期放送のドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)では、南海キャンディーズしずちゃんを役を熱演し、高い評価を受けた。

 次週の予告に小夜が「米英と戦争が始まった!」と梅吉に告げたり、激しく動揺するスズ子に寄り添う姿が見られ、今後も重要な役回りを演じそうだ。日本が太平洋戦争へ突入し、しばらく厳しい雰囲気が続くが、富田の演技があれば、ただ暗いだけでは終わらなさそうだ。

 また、第9週から脚本を担当している、櫻井剛氏への期待も大きい。昨年夏のNHK夜ドラ『あなたのブツが、ここに』を手掛けていて、コロナ禍の影響でキャバクラ嬢から宅配ドライバーに転身した主人公を中心に、人々の細かな心理描写が上手かった。第8週までの派手な展開は見られないもしれないが、脚本の力で視聴者を引き込むものになりそうだ。

 次週は、スズ子の楽団が“敵性音楽”とされ、歌う場所を確保することができなくなるうえ、弟・六郎(黒崎煌代/21)について受け入れ難い知らせが……などと、しばらく鬱々な展開が続きそうだ。半年という長いスパンで放送される朝ドラでは、物語の展開上、暗黒期は必ずあり、若干の視聴者離れが起こる。

 しかし、富田が加わった俳優陣の奮闘で、ドラマのパワーは逆に増しそうだ。この好調はまだまだ続くだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)