■刺さるセリフがつらい?
これだけ好評なにの、どうしてリアタイ視聴率が伸びないのだろうか? まずは、“セリフが刺さりすぎる”問題がありそうだ。本作は表現しにくい気持ちを言葉にしているところが評価されている。たとえば今回なら、3人が“嫌いなポジティブワード”を発表したあと、椿が「置かれた場所で咲きなさい」を挙げ、できれば最初から咲ける場所に置いてほしいとボヤくシーンが好評だった。
確かに刺さる言葉かもしれないが、それは時として、見ている側の心をエグリすぎることもある。身に覚えがありすぎて、しんどくなって見ていられなくなるのだ。Xの反響からも、これで離れた視聴者は多そうだ。
美しく穏やかなイメージで、一見、優しさに満ちているが、実はズシンと重いのが今作。それをエンタメとしてパッケージできているのは、4人の演技力のおかげだろう。特に松下のトボケ気味の演技が絶妙で、重い内容に軽さや優しさを与え、うまくオブラートにくるんで伝えている。
それでも、長々と続く会話劇の中、刺さるセリフの連続では、リアルタイムで気軽に見られるものではないだろう。視聴率が伸びないのはそのせいで、じっくり作品と向き合える、配信で好調なのも納得だ。
とはいえ、脚本・演出も俳優陣も、力の入った作品であることは確か。4人がどんな結末を迎えるのか注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)