【記事には、実際のトコジラミの糞や抜け殻が映る写真が掲載されています。ご注意ください】

 一度刺されると、耐えがたい猛烈なかゆさに襲われる「トコジラミ」。今、この小さな虫が、世界各国で猛威を振るっている――。

 トコジラミは早期発見が困難なうえ、驚異的な生命力と繁殖力をもつため、韓国やフランスを中心に世界中が大騒ぎ。人間の服やカバンにくっついて移動することから、コロナ禍が明け、旅行客の移動が活発になった今年から世界中で大繁殖を続けている。

 11月22日にはX(旧ツイッター)上で、”大阪メトロの谷町線にトコジラミがいた”という旨の投稿が相次ぎ、大阪メトロが11月24日から全線・約1380車両を順次、掃除機で清掃すると発表したばかり。年末に向けて観光客がさらに増加することが予想される日本でも、対岸の火事とはいえない状態だ。

「体長5~7ミリほどの吸血昆虫で、シラミではなくカメムシの仲間。人間が夜寝ている間に血を吸うことから、“トコ(床)ジラミ”と呼ばれています。

 もともと日本にいたトコジラミは戦後撲滅されたのですが、2000年頃になり、海外からの観光客やその荷物にくっつく形で、市販の殺虫剤が効かない“スーパートコジラミ”が侵入。それが日本でも生息地を拡大しているんです」(夕刊紙記者)

 スーパートコジラミは、一度屋内に持ち込んでしまったらもう“アウト”。その場所が清潔か不潔かにかかわらず繁殖を続ける面倒な性質で、あっという間に一軒、アパート一棟まるごとトコジラミに侵されることもあるという。

「現在、若い女性を中心に、低価格でトレンドアイテムを取り揃える『SHEIN(シーイン)』や『Temu(ティームー)』といった中国系海外通販や、韓国最大の通販サイト・Gmarketから生まれ、韓国ファッションや韓国コスメに強い通販サイト『Qoo10(キューテン)』が大人気になっています。その海外から発送される段ボール箱にトコジラミが付着し、国内へと持ち込まれる可能性も指摘されています」(前同)

 実際にトコジラミに噛まれると、その激しいかゆさは夜も眠れないほどで、生活に支障をきたすというから恐ろしい。

「卵から成虫になるまで1か月半ほどというスピードで、メスは毎日5~6個ほど、一生の間に200個~500個もの卵を産む。そのため、文字通りあっという間に増殖します」(同)

 東京都ペストコントロール協会によれば、1匹のメスが家に入り込み卵を産めば、半年後には計算上10万匹にも増えるという。

「暗い場所や狭い隙間を好み、一度屋内に交尾済みのメスやオス・メスの両方を侵入させてしまったら、布団類や家具の隙間、カーペットの裏など、さまざまな場所で繁殖を繰り返し、卵を産み付けます」(同)

リモコンホルダーをめくってみると、そこにはトコジラミがいた痕が…(想和ホールディングス提供)

 夜行性で日中は隠れているため、発見は困難を極める。気がついた時にはある程度繁殖した後なのだ。

「卵は乳白色で大きさは1ミリほどと小さく、しかも隙間に産み落とされると、素人が肉眼で見つけるのはまず無理。さらに生まれた幼虫は1、2ミリとこれまた小さく、なかなか気づかない。

 ただ、幼虫時代から血は吸いますし、吸血すると黒い“血糞”を残す。血糞があるとトコジラミの生息がわかります」(同)