■なぜ『セクシー田中さん』は好調なのか?
また、昨今『セクシー田中さん』のような、男女関係のややこしさがテーマのドラマが増えているが、これも惨敗続きだ。前期放送の『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系、水曜夜10時)も、最旬イケメン俳優の赤楚衛二(29)が主演したにもかかわらず、全話平均視聴率が5.0%と厳しい数字で終わった。
視聴者の反響にもあったが、毎熊と前田の人気も関係がありそうだ。ドラマの視聴者には女性が多いため、女性主体の描き方になりがちで、『こっち向いてよ向井くん』も主人公の向井くんは悩んでいるばかりで、彼を振り回したり、アドバイスをする女性たちの事情や恋愛観に比重が置かれていた。
だが、『セクシー田中さん』は今回の話のように、男性側の事情も丁寧に描いている。そのため、男女関係のややこしさに対する理解も深まり、メインの女性キャラだけでなく、男性のサブキャラへの思い入れも強くなる。結果的に、ドラマ全体の人気が上がっているのだ。
豪華キャストを揃えた作品が目立つ中、主役級のキャストが少なかったため、地味な印象があったが、脚本、演出のうまさで高評価を勝ち取った、秋ドラマの裏王者といえる本作。終盤も田中さん(木南)と朱里(生見)だけでなく、笙野(毎熊)や小西(前田)の成長にも期待したい。(ドラマライター/ヤマカワ)