■すべてをたくましく受け入れるスズ子

 今作の脚本を担当している足立紳氏は『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 ブギウギ Part1』(NHK出版)に、苦難は《乗り越えなくてもいい》《乗り越えようが乗り越えまいが、人生は前に進んでしまう》とし、《多くの喜びと怒りと悲しみが、一緒にやってくるのが人生だ》と寄稿しており、この作りはかなり意図的なものだろう。

 12月11日には、スズ子のロマンスの相手となる愛助(水上)が登場し、早くも恋を予感させていた。しかし、ただ甘い恋模様だけでは終わらないはずだ。年の差を乗り越えた交際、同棲、求婚、妊娠など2人の幸せな生活とともに、愛助の母親・トミ(小雪/46)の横槍、歌手引退、そして、最後は愛助の病死と、喜びと苦難が同時に描かれるだろう。

 だが、それこそが『ブギウギ』の魅力だ。喜びも悲しさもすべて受け入れるのがスズ子なのだ。そのたくましさに、今後も視聴者は惹かれ続けていくだろう。(ドラマライター/ヤマカワ)