■吐いた、汚した……運転手からの「請求」実態は
客が嘔吐して車内を汚してしまった場合は、クリーニング代の支払いや稼働できなかった時間分の損害賠償責任が生じると言われているが、実態はどうなっているのか。
「シートや車内に吐しゃ物が付着し、表面を拭くだけのような“応急処置”ではにおいや汚れが取れない場合、特殊な清掃をする必要がでてきます。においがすっかりとれるまでに、どうしても2、3日かかるケースは珍しくありません。
その場合のクリーニング代や、車が使えず仕事ができなくなった損失分をお客様に請求するかどうかはタクシー会社にもよりますし、状況に応じた運転手の差配というのが現実です」(前出の下田氏)
なかには「汚した記憶がない」という客もいるだろう。
「やはりトラブルも懸念されますし、請求するのは正直ハードルが高い。たとえば飲食店で酔っ払って吐いてしまった場合、必ずしも清掃代を請求されるわけではないのと似ています。
予防として、乗せた瞬間に“危ないな”と思った場合は細かい声かけなどをして、なるべくスムーズにお送りできるよう努めます。ただ、乗車前からわかるほど酷く泥酔していて、運転手が“乗せるのは危ないな”と判断した場合、お断りすることはできます」(前同)
酔っぱらっても他人に、そしてタクシーの運転手さんに決して迷惑はかけてはいけない。自粛モードは明けたといえど、ゆめゆめ羽目を外し過ぎないようにしたい。
下田大気(しもだ・ひろき)
直木賞作家である志茂田景樹の次男として生まれました。
俳優、会社員、飲食店経営などを経て2009年にタクシードライバーになりました。1ヶ月で300人中トップの売上を達成し、年収800万円を稼ぎ出す「カリスマタクシードライバー」として成功し、その豊富な乗務経験をいかしてタクシーコンサルティング事業、作家業を営むかたわら、ワイドショーのコメンテーターなどメディアでも活躍しています。2015年武蔵野市議会議員選挙に出馬し初当選。現在もタクシードライバーとして乗務し、その経験を活かした街づくり、道路整備にも力を入れています。