■タクシー車内で爆睡、起きない客への「対処法」は――

 だが、こうなると懸念されるのは“酔客”問題だ。コロナ禍前までの年末は、路上で酔い潰れた泥酔客も風物詩だったが、それも戻ってくるのか――。

 そんな酔っ払って前後不覚になった人の対処に手を焼くことになるのがタクシー運転手である。

 眠りこけて自宅の住所を言えない、車内で嘔吐するなどなど。タクシー側にしてみれば、お客は乗せたくても、厄介な客にはなるべく遭遇したくないというのが本音だろう。そんなタクシー運転手の悩ましさを、直木賞作家である志茂田景樹さんの次男にして、武蔵野市議会議員で、現役タクシードライバーでもある下田大気氏が明かしてくれた。

 2009年にタクシー業界に飛び込んだ下田氏。平均年収400万円といわれる業界で、1年目にしてその倍以上を稼ぎ、“カリスマタクシー運転手”として名を馳せる。15年に武蔵野市議会議員になった今もタクシー運転手は続けており、「やっぱり年末になると、タクシーのなかで寝る、吐くといったお客さんは少なからず出てきます」と語る。

「そうした人の厄介さは、何といっても余分な時間が取られてしまうことです。特に女性は運転手が触れるのはご法度なので、ゆすったり叩いたりして起こすこともできない。

 ベテランになると、お客様の耳元でスマホのアラームを大音量で鳴らすとか、車内のエアコンを“逆振り”にするといった荒技を使う人もいます。たとえば夏ならガンガン暖房をつける、冬ならめちゃくちゃ寒くする。そうしておいてしばらく外に出て様子を見るんです。

 それでも起きてくれないと警察を呼ぶのですが、その時点で1時間以上ムダになってしまいます。運転手にしてみれば、都心に早く戻ればお客さんはいくらでもいるシーズンなのに……と時間がもったいないんですよね」(前同)