神奈川県鎌倉市でクリハラリス(通称「タイワンリス」)が大増殖し、市民の庭の果樹等を食い荒らす、自宅の軒先に巣を作るなどといった被害を与えている。被害に悩む市民が語る。

「自宅にあるユズの木を食い散らかされました。皮だけとって実は自宅の塀に並べられている。それを見つけたカラスなどが、実だけ食べに自宅に来ることも。近所に巣があるからかなかなか、いなくなりません」

 2000年に69匹だった捕獲数は、23年度には11月時点で1553匹。この数字は過去最多の捕獲数となった18年度の1571頭に肉薄しており、記録更新は確実とみられる。なぜ、このような事態になっているのか。

「もともとタイワンリスは台湾などに生息する特定外来生物です。個人がペットとして飼っていたものが放たれたり、動物園から逃げ出すなどして国内にその生息地を広げています。

 鎌倉市のケースでいえば、江の島植物園(藤沢市)にいたタイワンリスが、1951年の台風により飼育小屋が壊れたことで“脱出”。島から橋を渡って三浦半島に住み着いたという説が根強い」(全国紙社会部記者)

 果樹への被害をはじめ、繁殖用の巣が作られる、電線が噛みちぎられ固定電話が通じなくなるなどといった被害に悩まされる市は、00年から市民の捕獲も許可。貸し出し用の檻の数は約200台だ。

 さらに市では、駆除予算を年々増額してきた。22年度は約849万円だったが、23年度は約1160万円。それでも予想を大幅に超える捕獲数に、市は24年度の駆除費用として12月の市議会定例会で追加約700万円の補正予算額を提出し、合計1860万円を要求している。これが通れば2年間で倍以上という大幅増、かつ過去最高額となる。