■酸欠で大量死、ウニやアワビへの懸念も……

 北海道沖でイワシが大量死するという現象は、これまでにもしばしば発生してきた。一昨年12月には道南の松前町で、今年1月には道北の北見市常呂町で無数のイワシが打ち上げられた。

※画像は「日テレNEWS NNN」の公式X(旧ツイッター)『@news24ntv』より

 事象そのものはそこまで珍しいことではないといえど、榊原さんは「函館ではこんな量は初めて」だと話す。

「イワシは食物連鎖の“下”に位置するため、多数で集団行動をする。イルカやシャチなど、捕食者に追われると逃げますが、方向を間違えるとこうして漁港や海岸に着くんですよね。

 浅瀬に入ると群れ全体が酸欠に陥り、浮かんでくる。函館市の漁港でも数年前の夏にイワシが大量死していたことがあります。その時は夏ということもあり、季節的にも腐るのが早く、においに関する苦情が市民から多数寄せられました。今回は冬なので、腐敗の速度もにおいも(夏に比べると)だいぶマシなのは救いです」(前同)

 海への影響はないのか。

「死んだイワシが海中に漂ったままでいると、死骸が分解される過程でプランクトンなどが増えてしまい、海中の酸素濃度が低下。ウニやアワビなど、泳げないような海の生物が酸欠になって死んでしまう。影響が出ないとはいえないので、処理を頑張るしかない」(同)