■豊漁が関係? 専門家の見解は
道立総合研究機構 函館水産試験場調査研究部の板谷和彦さんは、こうした現象について「イワシが移動する“通り道”でのできごと。季節的なイベントではある」としたうえで、背景に「豊漁」と「気候変動」の可能性を挙げる。
たしかに、今年はイワシが豊漁だ。道東沖でサバやイワシを漁獲する北海道まき網漁業協会によれば、今季(6月~10月終漁)の漁獲量は計24万9771トンで、5年連続20万トン超え。水揚げ高は149億9554万円で、前年比53.3%増となった。32年ぶりに100億円を突破する好調ぶりだ。
「今年は、そもそもの資源量が多い。また、イワシの集団は、冬に釧路エリアから南下して津軽海峡を通って日本海側へと移動する。その通り道の海温が急激に冷えて群れがパニックに陥り方向感覚を失ったり、あるいは捕食者に追われたりするなどして、一部の個体が岸壁に打ち上げられたものではないかと思います。
ただ、海辺に打ち上げられたイワシの量としては過去最大級の惨劇というほどではありません。一昨年、八戸では長さ4キロにも渡ってイワシの死骸が打ち上がり、海上保安庁が出動する騒ぎになったこともある。被害としてはそちらのほうが大きいのではないでしょうか」(前同)
函館ではすでに雪が積もるなか、懸命な作業が続いている。