広瀬すず(24)が主演し、King & Princeの永瀬廉(23)と初共演するドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)は、田舎育ちで天真爛漫な女性が、幼なじみの婚約者を追って上京した先で、音楽家になるのを夢見る青年と出会い、お互いの夢や恋を紡ぐラブストーリーだ。第3話は、空豆(広瀬すず)の結婚が立ち消えになり、音(永瀬廉)の淡い期待は裏切られたが、それぞれが自分の進む道を思い描くことでお互いの存在感を高めた。
■音は人を好きになる能力値が高い人間だ
音は、バイト先のカフェで初対面の女性・セイラ(田辺桃子/23)に声をかけられ、「あなたにひと目惚れしたの」と、連絡先が書かれた紙を渡された。そのメモを捨てずにいた音は優しい人だ。
初対面の人に、いきなり連絡先を渡されたら警戒するだろう。だけど、もらったチケットで水族館デートに誘うなんて意外だった。人を好きになる能力値が低いと自負する音にしては大胆に思えたし、何か理由があるように感じた。
音は、もともとテンションが低めの落ち着いたタイプだ。温泉地のCMのコンペで自分の楽曲が採用されても大声をあげたりガッツポーズをしたりはせず、そっと喜ぶような人。だから、本名も知らない女性をデートに誘った背景には、空豆が影響している。空豆と日常的に接することで、誰かを好きになること、そのエネルギーに感化されのだ。
自分を好きだと言ってくれる人と会うことで、何かが始まる淡い期待があったのだろう。水族館をまわった後はテラス席でランチをする2人は、とてもお似合いに見えた。音は、空豆に「(空豆は)基本、人を信じてるんだよ」と言って自分を謙遜していたけれど、音こそ人を信じる人間であることが分かる。それは、セイラが自分を好きなことは偽りで、目的は金銭目当ての詐欺まがいの誘惑だったのに、突き放すことをしなかったからだ。
セイラが、死にたくなるときに人の声が聞きたくなったら連絡してもいいかと聞かれ、いいよと返事をしてしまうような、お人よしなのだ。こんなに優しい人が作る音楽は、きっと穏やかで美しい。そう、温泉のCMに採用されるような、“痛みのない”音楽だ。その“痛み”については、いつ知ることになるのだろうか。