■ムラムラタムラの「芸」が会場をひとつにした――
浅草東洋館を満員に埋めたライブショー「Entertainment Festival『ASAKUSA!!』」の後半戦は、一部で“令和の江頭2:50”とも称されるムラムラタムラ(31)からだった。彼のギャグ及びメインの持ちネタは、言わずと知れた「もっこりからのりーもこちゃん」だ。いや、知らない人のほうが多いのだろう。
この日の観客は半数が外国人。日本語も分からない人が多いわけだが、そのことが返って、彼のギャグ「もっこりからのりーもこちゃん」の切れ味を増させた。外国人客の動揺などどこ吹く風、下腹部を一度前に出してからお尻を後ろに突き出す「もっこりからのりーもこちゃん」を舞台上で連発するタムラ。「りーもこちゃん ノー ミーン」「りーもこちゃんに意味はありません」「ドント シンク」「頭で考えないでください。心で感じてください」とハイテンションで語る彼の、なんの迷いすら感じていないピュアさが客席に伝播していく。
「オンリー リメンバー りーもこちゃん」、英語ふうに「これだけ覚えて帰ってください~」と繰り返すタムラ。「もっこりからのりーもこちゃん」に合わせる客席からの手拍子は止まらない。
そして彼は不思議な発言をしだしたのだ。この日何度目かの「もっこりからのりーもこちゃん」を丁寧に披露したタムラは「今のりーもこちゃんは、今までやったりーもこちゃんではありません」と話したのだ。そして、「私はりーもこちゃんとは言っていない。あなたの脳がりーもこちゃんと言っているのだ」と続け、さらに「みなさんのここ(脳)が言っているんです。イッツ マジック!」――。「Entertainment Festival『ASAKUSA!!』」最大の不思議ワールドで、爆笑芸でもあった。
前述の『細かすぎて伝わらないモノマネ』でも活躍するアマレス兄弟のレスリング芸、口からトランプを出すマジシャンとして有名なふじいあきら(56)の安定したマジック。さらには、MCを務めたねんど大介の巧みな中国語+手品パフォーマンス、そして、ゆんぼだんぷ、Enishi、ラストは汗だくのGONZOとゴット・タレント勢の3連続でショーは終了となった。
舞台に立つ芸人、パフォーマーは観るだけでも伝わるものを中心に、日本語だけでなく、英語や中国語を駆使して得意な芸を披露する。それを観た客席からも英語や中国語での歓声が上がる――多くの外国人観光客が集う観光地・浅草で“演芸の国際化”を見た気がしたのは、筆者だけではないはずだ。