■LINEで脅迫電話&違法貸金業の実態
Yの締め日は11月の最終日。X子は売掛金の入金日である12月5日までに、40万円を手元に用意することが求められた。
「12月は家族旅行の予定があったので、お金を作れず結局、売掛金は入金できませんでした」(前出のX子さん)
入金日である12月5日にLINEの通知を見ると、そこにはAから怒涛のように電話が掛かってきていた。
「電話越しにいつまでに入金できるの? って問い詰められて、その勢いで、今の自宅の住所や電話番号、実家の住所に母親の連絡先まで伝えるよう怒鳴りつけられました。挙句、最後は売掛金が払えないなら母親に風俗勤務やホストクラブ通いをしていることを伝えるからと言われたんです」(前同)
怖くなったX子さんはAの尋ねるがままに質問に答えてしまう。すると、AはLINEでX子さんに驚きの文面を送ってくる。
「“入金もれたら+10%かかるから 40万かけもれ+10%で入金44万ね”と送られてきたんです」(同)
エスカレートするAの要求。さすがにおかしいと感じたX子さんは弁護士の元へと相談に出向く。X子さんの担当弁護士が話す。
「AがX子さんに送ってきたLINEの文面を見る限り、ホストクラブ『Y』は貸金業を無許可で営んでいると見ることもできます。そもそもX子は、その場で現金の持ち合わせがないにもかかわらず、売掛金という形でお金を店が融通して酒を飲んでいる。
X子が入金日までにお金をお店に入れられなければ、ホストクラブ『Y』では、ホストAがX子の売掛金を立て替えるわけです。となると、AはX子の連帯保証人とみなせます。この状況を鑑みるにホストクラブ『Y』は、実質的に貸金業を営んでいると判断できるかと思います」
女性に対する暴力問題などを専門とする板倉由実弁護士もAのX子さんへの対応は問題があると指摘する。
「LINE電話越しに実家の住所や、母親の連絡先を教えるようにとX子さんに迫ったAの対応は、X子さんの自由を侵害しているとして脅迫罪にあたる可能性があります。また、予算を伝えているにもかかわらず、それを大幅に超えた金額をホストクラブに来店した女の子へと請求する行為。これは、民法90条で規定されているように公序良俗に反するとして契約取消を行うことも可能です。
そして、売掛金を返せないならば、親にホストクラブで売掛金があると伝えると脅すことは名誉棄損に当たると指摘されてもおかしくない。X子さんが損害賠償請求をホストAに対して起こすことも可能なのです」
徐々に悪質実態が明らかになりつつあるホストクラブ。歌舞伎町の悪き慣習に終止符は打たれるのか。