■エルフが若年層に支持されるポイント
若者を中心にTikTokで大人気となっている女性コンビ・エルフ。トレンドアナリストの太田まき子氏が、その人気の理由を解説する。
「ギャルキャラと動画配信ネタということで、10代が使用するTikTokとの親和性はかなり高いですよね。切り抜き動画も人気です。エルフは2人とも27歳でほかの人気芸人に比べると若く、シンプルに年齢層の近い若い世代にウケやすい。
ネタの内容も、社会への不満をぶちまけたり、誰かをくさしたりするようなタイプではなく、基本的にポジティブなネタばかり。さらには誰かを応援するようなメッセージ性もコントには込められている。誰かを傷つけることを嫌うZ世代である10代には刺さるんです」
自身のYouTubeチャンネル『エルフのギャルJAPAN』でも公開している、『THE W』決勝戦で披露したコント【居場所】の動画には、
《エルフの誰も傷つけずに見た人皆んながハッピーな気持ちになるお笑いが凄く素敵だと思います》
《誰も不幸にならない幸せなネタをお笑いに昇華できるのマジでエルフの良さだと思ってる》
といった声が多数寄せられている。
「お笑いネタを見ているはずなのに、思わぬところでエールがあり、救われる。元気をもらえる。かつ、コントとしての完成度も高い。そういった部分が若い層に刺さっているのでしょう。
ギャルの荒川さんは、SNSで発信する際にもポジティブな言葉を添えていることが人気で、23年3月には、そうした応援メッセージの日めくりカレンダー『エルフ・荒川の日めくり まいにち、GAL!』(ヨシモトブックス)を発売。
その際、荒川さんは、“苦しみの全部は理解してあげれないけど一緒にブチ上げることはできます!!”とコメントを寄せていました。“見ていて元気になれる”というのは、今の時代を生きる人に幅広く支持される大切なポイントなのです」(前同)
先輩芸人からの評価も高く、12月20日には大人気のチョコレートプラネットの長田庄平(43)と松尾駿(41)がYouTubeチャンネル『チョコプラのラ』で、『THE W』のエルフを「面白かった」と絶賛。ギャルキャラの荒川をはじめ、“ギャル”は真面目で礼儀正しいという話も展開していた。
「エルフでは荒川さんがネタを作っていて、ギャルを売りにしていますが、芸人としてかなりストイック。一方のはるさんはショートカットの髪型から一見地味で真面目そうに見えますが、実はポンコツでネタも一切作れない。
10月18日放送のトークバラエティ『にけつッ!!』(読売テレビ)でも、”行く先々で恋をする”と、荒川さんに暴露されたはるさんの恋愛体質について、千原ジュニア(49)とケンドーコバヤシ(51)が驚くシーンもありました。
荒川さんはギャルメイクとすっぴんというギャップを画面越しに見せていますが、はるさんについても真面目な見た目で超恋愛体質という“ギャップ”がある意味ミステリアスで面白く、もっと世に伝わっていけば、間違いなく今以上にブレイクするはず。むしろ、はるさんは伸びしろがあるということですから、コンビは飛躍的に売れる可能性を秘めています」(前出のお笑いライター)
はるという秘密兵器を抱えているエルフ。完成度が高く元気をもらえるネタ、同世代からも上の世代からも愛される“ギャップ”キャラを武器に、来年はいよいよ、漫才での『Mー1』制覇となるか。
太田まき子
新潟県出身。大学卒業後、広告会社及びマーケティング会社にて女性向け商材のプロモーション、ファッションカルチャーイベントの企画運営、エンタメ系の広報PRなどを担当。現在はフリーランスのPRとして、トレンドのマーケティングやリサーチを行う。